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ふじかわまゆみの「ラテンの世界へよ〜こそ〜」'01/12月
 
 12月という月は師走というだけあって、一年の中で最もせわしない月である。ちゃんと31日あるのは分かっているのだが、もしかしたら、20日間くらいしかないのではないか、と疑ってしまう程だ。
 ただでさえ忙しいのに、25日にはクリスマスという厄介なイベントがある。子供達の為にツリーを飾ったり、ケーキを用意したり、七面鳥を焼いたり、彼女にプレゼントをねだられたり、どこかに連れて行けと言われたり。
 なんとも、12月というのは面倒くさい月だなぁ、と思うのである。
 
 
キューバのクリスマス
 
 
 キューバでは、1961年に社会主義国となるまでは、国民の大半がカトリック信者であったという。その後、宗教の自由はあったものの、社会主義思想によって、カトリック教会は政府から抑圧を受けるようになり、表向きにはサトウキビ収穫のため、という理由で1969年からクリスマス祝日を廃止していた。
 1991年のソ連崩壊により、ソ連からの経済的な支援が無くなったキューバは経済難に悩まされ、カストロ議長は、アメリカの経済封鎖を解かせるため、宗教への抑圧を減らし、ローマ教皇と仲直りすることにしたのだった。
 そこで、ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世の訪問をきっかけに、カストロ議長は30年近く廃止していた12月25日の祝日を復活させたのである。

 しかし、他の中南米諸国に比べ、首都ハバナではクリスマス気分を盛り上げる、きらびやかな飾り付けや宣伝などは、演出されてはいない。庶民は、家庭でちょっとしたご馳走を食べるくらいである。
 ところが、外国人向けのホテルやレストラン、お金持ちの家では、クリスマスのパーティーが開かれ、ドルショップではクリスマス向けの商品が発売されている。
 
   キューバでは、外国人は車の運転をすることを許されていない。移住していても、運転は出来ないのである。
 そこで、キューバに住んでいる外国人は、車を購入すると、運転手を雇うのだ。

 キューバ在中の某日本人男性が、クリスマスの日に友人宅へ行くのに、運転手を呼んだ時のこと。
 その運転手は、赤い服に白いヒゲをつけ、所謂サンタの格好をして現れた。そして彼は
 「ガオーッ、ガオーッ。」
と子供達を追いかけ回したという。
 どうやら、クリスマスにはサンタという人物が現れるが、どういった振る舞いをするのかは知らないようであった。
 一般市民達の意識は、その程度のモノであるのだろう。
 

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