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・カリエンテカリエンテー2月号

●カリブ〜フランス語圏の音楽

<ハイチ>

 西インド諸島エスパニョーラ島の西側3分の1がサンドマングと名付けられた。1791年にフランス革命の煽りを受けてハイチ革命が勃発。革命指揮者トゥサン・ルベルチェールがサンドマングを制圧し、その後継者が国名をハイチと名付けたのだ。
 1804年にフランスより独立をし、ラテンアメリカ最初の独立国であり世界初のアフリカ系黒人の独立共和国となった。

 フランス語圏のカリブ音楽を聴いているとよく「クレオール」という言葉が出てくる。これはもともと、スペイン語のクリオージョと同じく植民地生まれの白人を意味していたが、現在のフランス語圏では「混血の」といった意味で使われているようだ。
 ハイチでは今でもアフリカ系黒人文化がふかく根付いており、音楽でもアフリカの伝統が残っているのが、マルチニークやグアドループなどの地域ではかなりの混血が進み、外部との交流でパリやニューオリンズのヨーロッパ的音楽が伝わってる。
 フランス語圏の特徴は、アコーディオンやバンジョーが好んで使われているところだろう。

 

◎ヴードゥー
(ヴォドォ)

 ハイチへ連れてこられた奴隷は西アフリカのベニン共和国出身が多かったとされている。彼らの宗教的概念とカトリックが混ざって形成されたのがヴードゥー教。
 神的存在であるロア(聖霊)とのコミュニケーションを通じて精神を高めようとする信仰で、アフリカ人奴隷が母国の宗教概念を残しながらキリスト教を取り入れ、ハイチにおいて新たに創り上げた宗教。キューバのサンテリアやブラジルのカンドンブレ同様、音楽との結びつきが深いのである。
 ヨーロッパ文化と混交した初期のダンス音楽でカリンダ、カラビーン、ジューバなどがあり、ブードゥーの儀式が終了したときに踊られる。

 もう一つの信仰儀礼として、ヴァクシーヌという竹筒トランペットと太鼓の音に合わせて、田舎町を練り歩くパレードのララがある。ドレスをまとった子供達やアフリカ色の強い衣装を女達、女装をした男達など思い思いの格好をしたグループがパレードの参加するという。

 こうしたヴードゥーやララなどの宗教音楽を、現代的な音作りで表現した、ミジック・ラシーンと呼ばれるものが1980年後半に登場。ブッカンギネ、ララ・マシーンなどのグループが代表的である。


◎コンパ

 初期の混血音楽にメラングがあるが、いつ出来上がったものなのかは不明である。しかしこのメラングは時代とともに変化をしていったものの、1950年頃にはマンネリしていった。
 そこへ、ヌムール・ジャン=バティストが隣国のメレンゲをハイチ流に解釈し、より踊りやすいスタイルにした音楽を発表した。彼らはこれをコンパ・ディレクトと呼んだのである。
 また、ヴェベール・シコーが同じようなスタイルで、カダンス・ランパと名付けた音楽を登場させた。
 ともに音楽的には大差ないのだが、常にライバル関係となり、お互いをネタにした歌で人々の関心をひいて50年代のハイチ音楽の中心となったのだった。

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