○トリニダード&トバゴ
<カリプソ>
18世紀後半、他の島々のフランス人入植者達が移住してきてた。トリニダードは1797年に英国に奪われたものの、フレンチ・クレオール文化はその後も維持されていた。19世紀始めに奴隷達が行っていた格闘技、カーヌブリュレの応援のための音楽「カリンダ」が後のカリプソの元となったと言われている。
1838年奴隷解放の翌年、元奴隷達は移住してきたフランス人入植者達が持ち込んだカーニバルを初めて路上で行った。このカーニヴァルの行進用音楽として生まれた音楽が、西アフリカ起源の「カイソ」と呼ばれるようになった。その後音楽自体を楽しむエンターテイメント性をもつものへと成長し、カリプソとなったのである。
カリプソの特徴として歌詞があげられる。その時々の問題や政治批判などを盛り込むのだ。この頃から歌の言葉がフレンチ・クレオールから英語に変わっていった。これは、1899年のボーア戦争から大英帝国全域で愛国心が高まり、トリニダードの音楽家達も英語で歌うことによって忠誠を表したという説がある。しかし、イギリスによる植民地政策に対する批判や、労働条件の改善を求める歌詞など、実に真剣で深刻なものが多かったのだが。
70年代に入り、レゲエに押されぎみなカリプソに、インド系のリズムと打楽器を導入。コレを「ソカ」と呼んだ。このソカは米国のディスコに強く影響されダンス音楽として発展し、一大ブームとなった。
ソカ以降に現れた音楽には、ファンキーなカリプソにのせたダブ・ポエトリーを聴かせるラプソ。ソカにダンスホールの流儀を加えたラガ・ソカ。インド系民族音楽に影響を受け生まれたチャトニーがある。 |