○ブラジル
ブラジルの音楽は多種多様。広い国土に先住民、ヨーロッパ人、アフリカ系、その後移民達というあらゆる民族が集まっており、その結果地域ごとに様々なスタイルの音楽やダンスが存在する。そして、ヨーロッパから伝わった要素と、アフリカからきた要素が混じり合い、数多くの融合されたスタイルが生まれた。こういった他のラテンアメリカ諸国と同様に、融合がこの国の音楽をより発展させていったが、ブラジルは特に頻繁に行われてきたようである。
<バイーアの音楽>
現在のブラジルで最もアフリカ系ブラジル人の多いバイーア。アフリカ伝来の伝統が今でも日常生活に根付いている。
アフリカ系ブラジル人のルーツは主に、現アンゴラ・コンゴ地域のバントゥー系民族と現ナイジェリア近辺にあたるヨルバ、ジェジェ・ナゴー系民族の二つ。
バントゥー系民族の代表といえば「カポエイラ」。これは本来格闘技なのだが、アフリカの奴隷達は領主の目をごまかすために、アンゴラ起源の楽器ビリンバウを伴奏に用い、舞踊であるかのように演じたのであった。
ジェジェ・ナゴー系文化の代表にあげられるのは「カンドンブレ」。キューバのサンテリアやハイチのブードゥーと同じルーツを持っている。祭儀場で、アタバキという打楽器の伴奏により降霊の儀式が行われる。彼らはサンテリアなどと同様に、キリスト教への改宗をさせようとする支配者への対抗策として、信仰する神々をカトリックの聖人達に当てはめたのである。
人々の日常生活の娯楽として生まれたのが、輪になったサンバという意味のサンバ・ジ・ホーダ。
バトゥーキと総称されるアフリカ伝来の舞踊の1つで、輪を組んで歌い、次々に輪の中で踊りを披露する。これがカルナヴァルにおけるサンバダンスの原型といえるものである。
バイーアのカーニバルで登場する音楽は、ポップス系とアフロ・ブラジル系のふたつ。ポップス系はギターやベース、ドラム、キーボードといったポップスバンドの編成で演奏され、バイアゥンなどをベースにメレンゲやカリプソなどのカリブ音楽の要素を加える。
アフロ・ブラジル系はよく伝統的な音楽と紹介されるが、様々な音楽を融合させている。例えば、サンバヘギは、ヘギ=レゲエとあるように、ボブ・マーリーなどの影響は大きい。
これらバイーアのカーニバル音楽をまとめて、アシェーミュージックと呼ばれているが、これはマスコミによってつけられたものである。 |