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ラテンパーカッショニストの食い道楽

 メキシコ合衆国という国は、旅行をするにはなかなか楽しいとろこである。
 マヤやアステカなどの大遺跡をはじめ、コロニアル都市など歴史的な見どころがあるし、先住民文化とスペイン文化がからみあっているため、各地のお祭りや市場で独自の民族色が楽しめる。また、青い海が広がるカンクンやロスカボスなどのビーチリゾートでは、南国らしい陽気さが溢れているのだ。

 数年前私は、クラクラするような暑さの中カンクンで飛行機を乗り換え、「げッ、コレ大丈夫なの?」と不安になるような小さく古くさい飛行機でメキシコシティへ入ったのだが、空港で信号機のようなものを発見して驚いた。

 出国手続きを済ませ外に出ようとすると、目の前には赤と青のランプがついている、まさに信号機そのもの。そして、柱にはボタンらしきものも付いているのである。

 「え?これを押すの?」
   ・・・・・ポチッ  「ブーーーーーーーッ!」
 「な、何何?」

 ボタンを押すと赤いランプが点灯し、音が鳴った。一体なんなのかとあたふたする私に、何やら制服を着た男が「スーツケースを開けろ。」とまくし立てる。やだよぅ、恐いよぅ、何もしてないよぅ。とオロオロしたのだが、無理矢理スーツケースを開けられてしまった。

 後から知ったのだが、ここの空港では全員がボタンを押し、青いランプは素通り。赤いランプが付いたら荷物検査、ということだった。妙なルールである。

 この一件ですっかりメキシコに不安を抱いてしまった私は、食事も喉を通らない、かもしれないと思っていた。

 「メキシコ料理は不味いしなぁ。豆ばっか煮込んであるし、どれもこれもひと味足らないし、妙な味は混じっているし。あー、違う料理でも食べようかな。とほ。」

 東京で何度か不味いメキシコ料理を食べていた私は、料理にも不安を抱いていたのである。ところがそんな不安は一気に解消した。

 「なぁんて美味しい料理なんだ、コレはッ!!!!ビバ!メヒコ!」

 現地の料理を一口食べたとたん、私のご機嫌数値は最上値まで上がったのだ。これがメキシコ料理だとすると、今まで食べていたのはメキシコの犬のエサ以下である。目からウロコがポロポロポロとこぼれ落ちた。

 メキシコ料理といえばタコスやエンチラーダだが、表現のしようがないほど美味しかったし、サボテンにチーズを挟んで揚げたものや牛肉のサラダやズッキーニに肉を詰めたモノ等も素晴らしい。もちろん魚もいろいろあって、海老をニンニクで炒めたものやタコを野菜で煮たものや小魚を揚げたものまで、何を食べても口が喜ぶのである。

 んもう、すっかりメキシコ大好きになった私は腹がはち切れんばかりに料理を詰め込み、日本へ向かった。そして、帰りの空港にて。

    ・・・・・ポチッ  「ブーーーーーーーッ!」
 「またかよぅ。」

 同じく赤いランプが点灯したが、ご満悦な私はちっとも荷物検査がイヤではなかったのであった。美味しいメキシコ料理を食べたいと思っている人は、メキシコまで行かないと味わえないぞ!

Salsa Mexicana

 美味しいメキシコ料理を食べたいがメキシコまではそう簡単には行けない。そこで家庭で簡単に味わえるものを1つ。
 サルサ・メヒカナというサルサ。サルサとはソースの意である。このサルサがあれば、メキシコ気分満点なのだ。


・青トウガラシ 生または缶あるいは瓶詰め    2〜5本
・タマネギ 1個
・トマト 3個
・ニンニク 1片
・香菜(コリアンダーやパクチーなど)適宜
・オリーブオイル 適宜
・ 塩 ・コショウ  適宜

<作り方>

1、青唐辛子を焼き網で焦げ目がつくぐらいまで焼き、皮をむく。缶、瓶詰めトウガラシはそのまま使用。
2、材料をみじん切りにして混ぜ合わせ、オリーブオイルを入れ、塩コショウで味を調える。

 たったこれだけ。誰でも作れるハズ。
 このサルサメヒカナはいろいろ使えて、調味料としてタコスの具に添えたり、 溶き卵に混ぜて炒り卵にしたり。またはトルティーヤ・チップスに添えたり、魚介のグリルや野菜のフライにかけたりする。なんとも万能なサルサなのだ。

 そして、メキシコといえばコロナビール。
 日本でコロナを注文すると、瓶の口にライムが一切れ掛けて出され、それをビールに押し込んで飲むのだが、メキシコでは一度もライムと一緒に出されることは無かった。

 ここはやはり、ライムなしのコロナビールとサルサメヒカナで、メキシコ気分を味わってみて欲しい。きっと、メキシコが大好きになること間違いなしである。

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