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(テキスト:石川 武)


ドン・アライアス

Don's Solo(JONI MITCHELL SHADOWS AND LIGHTより)


 さて、2回目も石川をパーカッションの世界へ引きずり込んだ偉人さんの話です。

 ドン・アライアス先生、近年ではデビッド・サンボーンとの共演が多いですが、ちょっと前はジャコ・パストリアスとの共演で何度も来日していました。

 私がここに原稿を書く人は、だいたいインタビューをした人か、何らかのことで知り合った知人のミュージシャンなのですが、この方だけは例外です。会った事はありません。厳密に言うとコンサートは何度も見ました。ブルーノートでのライブも何度か見ました。私から3メートルくらいのところで話しているというシチュエーションにも恵まれました。

 ところが・・・話せないのです。
 
 私の友人(現役海外ミュージシャンでは一番中がよいかな?)のトム・ブレックラインはチック・コリアのレコーディングなどでよくドンと共演しているのです。そして僕が「ドンのことが好きなのだ」みたいな話をしたことがあるのです。
 やはりトムも「ドンは最高だぞ。リズム・マスターだよね」って言っていました。「今度紹介するよ」って言ってくれました。
 でもだめなのです。なんか、知り合いになりたくないのです。僕の中では神様に近いのです。

 私はドン先生のプレイはもちろんですが、演奏中の息づかいから表情、手の形からコンガの並べ方まで、全部好きなのです。なんと言っても一番すきなのは演奏に対する気合みたいなもの。感じるのですよこれが、たとえCDの演奏でも。僕だけなのかなぁ?

 コンガの音も最高です。もちろん使っているコンガもよいのでしょうが、僕はきっとドンならば、どんな楽器を使ってもドンの音になると思っています。魂がそうさせると思います。

 というわけで、僕をこんなにまで釘付けにしてしまったドンの演奏。是非一度聞いてみてください。
 コンガを叩く人!このソロのエネルギーを感じてください。次の曲につなぐまでのストーリー性を感じてください。ドンのパッションが楽器に伝わったときの、楽器がそれに答えて一生懸命音を出している匂いを感じてください。
 きっと何らかの道をあなたに与えてくれることと思います。


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