アール・ディロイン Earl
DeRouen
ライブ/ダニー・ハサウェイ 「THE GHETTO」 |
「THE GHETTO」収録アルバム
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今回は、僕が紹介するにしては少々珍しいタイプのCDです。
ダニー・ハサウェイといえばソウル界の重鎮。重鎮とは言っても33歳という若さで逝ってしまった短命の天才歌手ですね。このダニーの1971年のロス及びニューヨークで行われたライブまとめたものがこのCD。このCDの2曲目に収録された「THE GHETTO」が今回の推薦曲。
コンガ奏者のアール・ディロインという人、実は僕も良く人となりはわからないんです。
このアルバムを最初に聞いたのは20数年前、リズケンの前身であるケン・ミュージック・スタジオが出来てまもなくのことです。現在の私の師匠でもある江尻氏が当時ソウル関係のLPを多量に集めており、その中にこの「DONNY HATHAWAY LIVE」もあったわけです。
コンガ演奏に興味を持ち始めていたこともあるうえ、演奏しやすいリフを持つこの曲は、当時のセッションのネタにもってこいだったわけですね。で、友人たちとこの曲をしょっちゅう演奏していたわけ。当時としてはコンガ演奏、特にソロ演奏の格好の勉強素材だったわけです。
ソウルのパーカッション演奏は一般にノリの勝負というか、細かいことよりグルーブ中心の演奏という印象が強かったんです。が、このアールの演奏は少々違っていました。ある意味僕が始めてコンガ演奏のルーツ的なニュアンスを感じた演奏だったのだと思います。
現在の楽器のようにソリッドにチューニングされたサウンドではなく、いわゆるローピッチのコンガを熱く叩きたおすタイプの演奏ですね。今の感覚で言えば、高等テクニックをひけらかすわけでもなく、フレーズが難解なわけでもない。ただ、エンジンの回転数が徐々に高まっていくような、興奮度の上昇感覚は見事なのです。
また、コンガ・サウンドのもつエネルギーを再認識するという点でも、このサウンドはとても良い素材です。
コンガの音自体が持つ温かみやエネルギーを、本当に再認識させてくれるサウンドです。近年のハイパー・プレイに食傷気味になっているパーカッション・プレイヤーには是非聞いていただきたい演奏です。ラテン・ファンもソウル・ファンもコンガ・ファンも皆ね!!