STEVE GADD
aja/STEELEY DAN より 「AJA」 |
「aja」
steeley dan
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さて、今回は「うっっっ」のプレイをご紹介します。
色々な意味でスリリングな「うっっっ」のプレイは、有名なものでもいくつかあるのですが、ここでは特に有名なものを紹介します。
ところで何が「うっっっ」のプレイなのか?要するに、間違っているぞ!のプレイです。
USA産のレコーディングには以前から、間違ってしまっているプレイなのに、そのままOKトラックとしてプレスされているものがあります。特に70年代を中心に多いように思われます。今回取り上げるのはドラムの「うっっっ」のプレイでは代表曲にあげられる「aja」。
ちょっとここで注意。「うっっっ」のプレイを紹介するのは、決して誹謗中傷を目的とするものではありません。ミスがあるにも関らずOKになってしまう理由を皆さんに感じていただくためです。要するに他の演奏がそのミスを覆い隠してしまうほどすばらしい、ということなのです。
この「aja」では、スティーブは曲後半部で長いドラム・フィル(ソロ)を展開しています。演奏タイム4分58秒あたりで、結構ポイントとなっているタムの一打が、リムにあたってしまっていてサウンドしてないんです。
まあ、重箱の隅つつき系のことではあるんですが、通常のレコーディングならここで気合がなえてしまうと思うのですが、ガッドは違うんですねぇ。
ガッドの場合他にも教則ビデオの中でソロ演奏中にも、同じようなことが起こっています。ハイハットにスティックが挟まってしまった事件です。でも、このときもそのままOK。それどころかはさまり事件以降のプレイはさらにカツが入り、とてつもなく良い感じ、、、、なわけです。
ガッドは何かにぶつかったときそれをリカバーする火事場の何とかみたいな気迫が出てしまうようです。
このajaでもおなじで、「カツッ」というサウンド以降の集中力はすさまじい。しかもソロは4分43秒位から始まる、いわばまだ始まったばっかり。普通なら「ごめん、もういっかい!」となる感じの部分です。
で、これを踏まえて全体を聞いてみるとソロの全体的なバランス、内容、気迫、すべてにおいて言うことなし。あのたった一打の問題以外は120点です。
なぜあの1打以降ああなることがガッドにはわかるのでしょう?まさに、スーパープレイです。
聞き流してしまうと何てこと無いのかも知れませんが、自分が録音していると考えると、相当なダメージのはずです、あの部分は。それをエネルギーに変えてしまうガッド。そしてその気迫に答えるあの人に内在する資質と技術と経験。
どれをとっても「うーーーーん」とうなりたくなる演奏です。ドラマー、パーカッショニストは一枚必携のCDですよ!!