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2004/8月号

(テキスト:石川 武)

Steve Jordan

DETENTE (SQISH/THE BRECKER BROTHERS)



「DETENTE」
THE BRECKER BROTHERS



 スティーブ・ジョーダンのDVDが発売されて、この曲の存在を再認識した人は多いと思いますが、私もそんな人の一人。

 このアルバムが出た当時、一緒にやっていたアマチュアバンドの名前をDETENTEにしたことを、恥ずかしながら思い出しました。

 アルバム全体のかっこよさもさることながら、ジャケット裏のステレオが置いてあるリビングのような所でブレッカー兄弟がくつろいでいる写真を見て、

「いつかこんな生活を・・・」

みたいに思ったことも、さらに恥ずかしながら思い出しつつこの原稿書いています。

 この曲のスティーブ・ジョーダンは、当時の私にとって、かなり革命的にかっこよかったのです。まずはイントロの重量感。雰囲気としてボンゾの「移民の唄」を思わせるフレーズが、こんなにもスマートに、しかも重量感を失わずにプレイされているところが画期的でした。

 ベースとバス・ドラムのコンビネーションということを、はじめて具体的に意識したのも、このあたりだったと思います。

 次に出てくるハイハット・ワーク。これは最初、ほんの少々「かっこいいかなぁ」くらいの感想だったのですが、気に入って自分がドラムで練習を始めたときに、愕然としました。耳で聞いている段階では、すでにコピーは出来上がっていて、ドラムに向かったときは、ある種自信満々だったのです。

 ところが、ああならないのです、全然・・・。雰囲気が全然違う。ジョーダンのプレイは32分音符の長さがはっきりわかるんです。というよりわかるような気がする出来なんです。
 要するに細かい音符一つ一つが的確な場所にあるんですねぇ。これには少々参りました。

 練習してわかった事は、いわゆるダブルストロークでは表現できないんですね、32分音符。シングルでしっかりハイハットを押さえ込むような演奏をしないとああならないのです。
 いやぁ、練習しましたねぇ、こればっかりは。簡単そうに聞えてできないってのが悔しくて。

 そうやって、ハイハットの難しさに気づいてから全体を聞きなおしてみると、全てのプレイ(音符)がほんとにあるべきところにあるような気になりました。
 ハイハット、ベードラ、フィルイン、スネア、何をとってもです。

 以前スティーブ・ガッドが

「レコーディングの時は、クリックを後ろから追いかけるように感じるといいんだ」

と、なにかのインタビューで言っていました。

 今考えるとまさにこのジョーダンがそんな感じです。ともするともたって聞えるぐらいおもい。なのにドライブ感、スピード感を感じてしまう。

 今でもお手本曲としてたまに聞きなおす、私にとっては重要な曲です。

(ちなみに、ライナーの曲のパーソネルを書いてあるところのドラムが、スティーブ・ジョードン「Steve Jordon」になっていることも見逃してはいません。)



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