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2004/11月号

(テキスト:石川 武)

RALPH PETERSON

V / RALRH PETERSON QUINTET



「V」
RALRH PETERSON QUINTET


 ぼくってあんまりジャズのCDをじっくり聴くことってないのです。
 夜中に部屋の明かり薄暗くして、ウイスキー片手に雰囲気作りするときに、それとなくまさにジャズってCDかけたりするのですが、最近は酒呑めないし(理由は聞かないで)、あまり聴かなくなってたんですね。

 でもこの原稿のこと考えていて、そういえばひとつだけジャズの愛聴盤があるのを思い出しました。それがこのラルフピーターソン。

 なぜこれだけが愛聴盤なんでしょう?自分でも良くわかっていないんです。何がいいんでしょう?考えてみましょう。

 まず、ドラムの音が好き。シンバルも。ラルフは録音時数時間前にスタジオ入りし、入念にサウンドチェックを行うそうです。何気ない音のバランス、音色のバランスですが、非の打ち所のないサウンド構成だと思います。
 他楽器との相性も良く、音楽性に対するチューニングが、僕の中では完璧に近い。

 次に楽器のコントロールがすごい。一見「オリャー」タイプの馬鹿たたきドラマーみたいな感じがするんですが、力強さの中にすっごく繊細な音作りを感じてしまうんです。
 後はバンドとしてのタイム感のシェアがすっごくうまくいってる。これには感服します。

 ラルフのプレイも派手なんですが、決してソリストや曲のテーマを邪魔してないんです。ダイナミクスの変化が自然で且つ雄大なんです。

 以前ラルフがデイブ・ウェックルとジャズフェスで共演した際、デイブを評して

「なんて丁寧なドラマーなんだ。俺には到底出来ないよあんなドラミングは」

と言ったそうですが、決してラルフはがさつなドラマーではありません。とっても繊細だと思います。少なくとも僕にはそう聞えるんです。

 それでいてこのダイナミックなプレイに聞えさせる所がすごい。迫力あるプレイが多いんですが、決してうるさくないんですねぇ。タイム的な緊張感もすばらしいです。バンドの間のせめぎあいもあるんですが、決して離れてない。ラルフはミュージシャンシップもしくはリーダーシップについてこういっているそうです。

「ソロをとることではなく、メンバーをリラックスさせ、力を存分に発揮させること」
「過去のジャズに対する深い知識をもち、その一方で新しいことにも取り組んでいると、仲間からも認められること」

これ、僕の課題だなぁ・・・・


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