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(テキスト:石川 武)

今回よりこの「偉人さんのお言葉」を担当することになった石川です。何卒よろしくです。このページでは、私が今までに雑誌のインタビューその他でお会いしてきた偉人さん(基本的にミュージシャン)たちのありがたいお言葉や、エピソード、裏話、インタビューの現場の雰囲気、などなど、思い出に残る出来事を少しずつ紹介しようと思います。何卒末永くお付き合いのほどを!

今回の偉人さん

Tom Brechtlein
(トム・ブレックライン)

若くしてチック・コリアのアルバムでメジャーデビュー。ウエイン・ショーター、アル・ディ・メオラ、ジャン・リュック・ポンティを経てロベン・フォードのバンド、ブルーラインに参加。現在も様々なセッションで活躍中。

トムのドラムを聴こう
Robben Ford & The Blue Line
THE AUTHORIZED BOOTLEG
Robben Ford & The Blue Line
「初めてのインタビュー」

 お初の今回は、初めてのインタビュー仕事の思い出からはじめましょう。思い起こせば16〜7年前、私の師匠がドラムマガジンの仕事をはじめて、落ち着き始めたころの話です。もうすでに師匠は何度もインタビューには行っており、そのときも何度目かのインタビューの仕事を依頼されたのでありました。

 「今度のインタビュー、たけも行くか?」

 「行っていいんですか?で、誰のインタビューなんです?」

 「トム・ブレックラインっていうんだけどさ、チック・コリアのドラマーだった人だよ。」

 「そりゃあもう、よろしくおねがいします。」

ってなもんで翌日事務所で待ち合わせしたわけです。朝起きて早々に事務所に行くと、師匠の顔がやや曇ってる。すると突然、

 「今日お前一人で行ってこない?なんかちょっと疲れててさあ。」とまた師匠。

 「はあ?」

 そのときの私はトムのプレイはほぼぜんぜん聞いたこともなく、師匠にトムの参加したアルバムを2枚ほど持たされ緊張するまもなく渋谷のヤマハへと向かったのでした。「アルバムにサインでもねだれば機嫌よくなるよ。」という師匠の言葉を信じて。
 ちなみにうちの師匠はよくこうやって急に弟子教育モードに入ったりするのですが(前置きなしの仕事依頼、とにかくやってみろってやつ)、これが結構効くんですよ。ねーみんな。って、楽屋落ちですが。

 ヤマハについて当時R&Dと言っていたところへ行くとなにやら背の高い、どう見てもアメリカ人です、といった風体の若者がなにやら雑誌などを読んでる。しかもややいらいらした感じで。これを見たとき緊張感がいきなりピークに達したのでした。仕方がないので紹介されたときに、おそるおそる

 「私インタビューって初めてなんですよね。」

と、通訳のお姉様に言ってもらいました。すると突然、トムの顔が一転明るくなりました。「どして?」などと考えていると、通訳のお姉さま

 「彼もドラムの専門誌にインタビューされるの初めてなんだって。」

なーーーんだ、ってことで一気にその場は明るくなり、インタビューもいい雰囲気で終了。それ以来トムと私はテクニックや音楽経験の差を乗り越えた友人として、よい関係を保っております。

 そんな関係で、このホームページでも紹介してるような特別セミナーが行われるわけなんですが、イヤー何がきっかけで友達になるかわからんですなー。何はともあれ、それからトムにはいろいろ教わることになったのでありました。

今月の一言

「僕もインタビューされるのはじめてなんだよねっ!」

解釈“どんな偉人さんにも、はじめの一歩がある”


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