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(テキスト:石川 武)

今月の偉人さん  スティーブ・スミス


Steve Smith
(スティーブ・スミス)

 

 70年代後半から、ロックバンド「ジャーニー」で活躍し、ドラマーとしての名を世に知らしめる。日本でもロックドラマー「スティーブ・スミス」のファンは多かったが、ジャーニー解散後、スティーヴが最も志していたというジャズドラマーへと転身。現在はソロ活動や、幾多のセッションやスタジオワーク、そして自己のバンド「バイタル・インフォメーション」「バイタル・テックトーン」など、常に第一線での活動をしている。

スティーブ・スミスのハイパードラミング。
STEPS AHEAD LIVE
STEPS AHEAD
「Ray Of Hope」
Vital Information

「興奮しているよ!」

 スティーブ・スミスといえばジャーニーのドラマー、というのは一昔前の人間のいうことみたいですね、どーも。現在はバイタル・インフォメーションや、バイタル・テック・トーンなどの自己バンドでハイパーなプレイを披露しています。バディ・リッチのメモリアル・コンサートや教則ビデオなどもおなじみな所でしょうか。
 もはやジャズ、フュージョン・ドラマーとしての地位を確立しました。

 今回の話は、スティーブがジャーニーをやめてステップス・アヘッドのメンバーとして来日したときの話。ドラムマガジンのインタビューでコンサート会場まで出かけていきました。

 インタビューはコンサート直後、楽屋で行われました。
 楽屋に入っていくと、汗だくのスティーブがタオル片手に何か飲んでいました。ワサワサとした中挨拶を済ませると、さきにフォト・セッション。僕も写真をとってもらいながら、スティーブは軽いジョークを飛ばしていました。
 いろいろ片付けてぼちぼち始めようかというとき、ベーシストのダリル・ジョーンズが楽屋に入ってきました。先に着替えを終わらせていたらしく、何か探し物をしに来たようでした。スティーブが
「どうしたの?」
と聞くとダリルが

「ああ、上着をわすれちゃって・・」

といいながらロッカーを見ています。

「おかしいなあ、ないぞ・・・」

といってあたりを見回しました。その場にいたみんなもキョロキョロし始めたとき、ダリルの目がスティーブの足元にとまりました。スティーブ、そして皆がスティーブの足元を見ると、なんとスティーブの椅子の下に、椅子の足に踏まれたダリルのジャケットが。一瞬皆凍りました。

「What a fuck ・・・」

とダリルが小声でつぶやき、そのままスティーブをにらんでいます。2,3秒の沈黙の後、スティーブが

「Sorry!!」

というと膨れた顔のまま部屋を出て行きました。通訳の高橋さんが
「大丈夫?」
と心配そうに聞くと。
「大丈夫、あの顔は冗談さ、ハハハ」
と、笑っていました。

「なんだよ、あの顔が冗談ってわかるって事はずいぶん仲がいいんだな・・・」

などと考えているうちにインタビュー開始。


「今回のコンサートをプレイした感想をひとつ・・・?」

みたいな質問をすると

「僕はジャーニーに入る前、ジャズのバンドを取るか、ジャーニーをとるか選択しなきゃいけなかったんだ。」

(へぇ〜。そしてジャーニーは大成功したわけだ。)

「ロック・ドラマーって言う印象が強いかもしれないけど、本当はジャズをプレイしたかった。」

(今や押しも押されない一線ドラマーの陰には、そういうこともあったんだな...。)

「今回のメンバーはそういう僕からすると神様みたいな人たちだ。ずっと一緒にプレイしたいって夢見てた。」

(あんなに仲良しそうだし、スティーヴも楽しそうだもんな...。)

「だから本番中はもう必死って言うより夢心地、でもドキドキだったよ!」

 (?????)

今月の一言
「ドキドキだったよ!」
“I’m so excited !”

解釈・・・偉人さんもやっぱり人の子なんだなあ・・・!

特別公開!今回のお話しの楽屋風景です。
スティーヴ・スミス(左)と
石川氏(右) わ、若い...
ダリル・ジョーンズ


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