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(テキスト:石川 武)

今月の偉人さん  フランク・ギャンバレ


Frank Gambale
(フランク・ギャンバレ)

 

 7歳でギターを始め、1982年23歳でアメリカに渡りGITをStudent of the Yearという肩書で卒業後、講師も努めた。チックコリアエレクトリックバンドに参加後、スイープ奏法の達人として一躍有名になる。当時はテクニック派としての面が強くあったが、90年代後半からはアコースティックな面が強くなってきている。最近では、ソロ活動やスティーヴ・スミスのVitalシリーズでの活動で円熟したプレイを聴くことができる。

フランク・ギャンバレのオススメソロアルバム。
Brave New Guitar」
Frank Gambale
「Present For The Future」
Frank Gambale

「これなのよ!」
 今回はドラマーじゃないのです。フランク・ギャンバレはギタリスト。チック・コリア・エレクトリック・バンドで一躍トップギタリストの仲間入りをしました。ソロアルバムも何枚か出しています。
 スイ―プ奏法という名前はドラマーの私でも何度か聞いたことがありますね。このフランク、実は10数年前に始めてあったんですが、ちょっと面白い話だったので今回紹介しようかと思ったわけです。(今回はあまり音楽とは関係ないんですが・・・)


 当時フランクは日本のとあるミュージカルに出演するために来日したのです。出演というよりいわゆる劇バンなのですが、バンド自体もステージ上にいて演奏するというタイプのものでした。
 ところが同じバンドで来日してたメンバーが結構すごい。Keyにバンマスとしてケイ赤城さん、ドラムは友人でもあるトム・ブレックライン、ベースはボブ・ハリソンといって、当時アイアート・モレイラのバンドにいた人でした。
 このミュージカルがほぼ1ヶ月公演だったので、私はトムに会いに何度となく新宿のホテルへ遊びに行っていたのです。


 あるとき公演が休みの日に、トムと何処かに買い物にでもいこうということになりました。そして当日トムを迎えにホテルへ行くと、

「ごめん、今日ちょっと別の用事ができちゃってホテルを出られなくなっちゃった。良かったらフランクを買い物に連れて行ってもらえないかなあ?」

と。
「いいよ、どうせ僕も休みだから。」
ということで、その日は図らずもフランクと買い物に行くことになったのであります。

「フランク?何か買いたいものあるの?」
と聞くと

「ああ、兄貴のお土産にデータバンク(当時はやっていたカシオの腕時計)と、Tシャツがほしいんだ。」
「Tシャツねえ、それに時計じゃあ、上野にでも行こう。」

というわけでフランクともどもアメ横に行ったのです。時計屋に何軒かよってデータバンクを買って、ちょっと腹減ったねえ、ということで

「何食べる?」
と聞くと

「最近ダイエットしているから軽いものを!」

と言ったのです。が、実際の言葉の中には「no salt and no oil !」。要するに塩と油は入ってないものという意味ですよねエ。

「じゃあ、蕎麦屋にでも行こう。」

ということで蕎麦屋さんに入りました。写真入のメニューを見て何か指差しながら頼んでいます。しばらくしてでて来たものをみたら、なんとフランクのはてんぷらうどん。僕は心配になって

「フランク、それ大丈夫?」

と聞くと、一口てんぷらとうどんをすすり、「Yeah, no salt , no oil !!!」・・・・・・

 そこの蕎麦屋さん結構関東丸出しのだし汁でしょっぱい系。てんぷらも衣だらけだったんだけどなあ。やっぱりアメリカ人だなあ・・・・
 ってなことがありつつ次はTシャツ探しに出かけました。何軒か輸入物系の店を見たんだけどなんか表情が暗い

「気に入らないの?」
と聞くと
「違うよタケシ、こういうのならロスに帰れば死ぬほど買えるんだよ。僕が探してるのはね・・・・・」
といいながら歩いていると、いきなり

「Yeah!!!!!」

と叫ぶではありませんか。「なになに??」と聞くと

「これなのよ!!!」

と指差した先は、何てことない3枚1000円とかの良くあるまがい物的Tシャツ。

「えええ、これえ?」
と聞くと、
「そうそう、これ、見てみろよ、ぷぷぷぷぷ」
と、一人で笑いはじめました。
 見てみると、何て事は無い胸に英語がいっぱい書いてある、普通のプリントTシャツです。

「何がおかしいのさ?」
と聞くと
「何がって・・・ぎゃはははは」 とフランク爆笑!
そこでたずねました。


「なんて書いてあるの?」

すると

「わかんねえよおれも、だからおもしろいんだよ、ぶわっはっはっは」・・・・・・


 よくよく聞いてみるとプリントされた英語が、超いんちき英語らしい。そういうことか。
 後に色々聞いたんですが、私たちがブランド物のコピー、特にスポーツメーカーのTシャツと思い込んできているもののほとんどに(特に安売り系のやつ)、いんちき英語が含まれているらしいです。むこうの人がみると、かなりおまぬけらしいです。

 その日の帰り道で、

「よく見るとお前が着てるその服も、結構いけてるよ、ぷぷ」

だって。皆さん気をつけましょう!!
今月の一言
今月の一言「これなのよ!」“This is it !!!”

解釈・・・偉人さんも、いろんなものに興味もってんのね!

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