ルイス・コンテというと、私がはじめて意識したのはマドンナのツアーでの演奏です。一昔前のマドンナで、いわゆるダンス・ビートのポップな曲で、ティンバレス、正確にはカウベル類をとてもかわいらしく使っていたのが印象的でした。そんなルイスがLP(当時はLPのエンドーサーをしていたのです。)のパーカッションセミナーをやることになり、私は進行役としてお手伝いすることになったんです。
当時ルイスはジャクソン・ブラウンのバンドで来日していたんです。相変わらずポップな感じのパーカッションがうまいなあと、ライブを見に行って思ったのを覚えています。後日ホテルへ打ち合わせに行きました。私は、ルイスのことを当時のLPのポスターでしか見たことがなく、そのポスターはひげを生やしてはいるものの、やや細面で、かわいらしい笑顔で笑っているやつだったのです。ポップな演奏にやさしい笑顔、というのが私のルイスの印象だったのです。ところが実際に面と向かったルイスは、髭面の熊オヤジという感じ。「HELLO!!」という声も、ドスのきいたごつい声でした。「名前は?」と聞かれたので「たけしですぅ」と答えると「Good name! It sounds like Rumba! Right? 」というといきなり「タケシーシー、ンンドゥパクパッパドゥン・・・・」と歌い始めました。「なんつーオッチャンじゃ、人の名前で・・・」と思って苦笑いしていると「Rumba Takeshi!!! Itユs good hah!!」と、言いながら、「がははははは」と笑っていました。とにかく豪快な人です。
僕がパーカッションの教則本を書いたんだというと、夕食時(インド料理の結構たかそうなきれいな場所でした。)見せろというので見せてあげたんです。すると「オッ、この練習パターン知ってるぞ!俺も今やってるところだ。」といいながら、ばたばたとテーブルを叩き始めました。一気に周囲の注目の的です。「お前もやれ」というのでおそるおそるやり始めたんですが、周りを気にしながらテーブルを叩くという行為が瞬時に僕の中に受け入れられず、ちょっと間違ったんです。すると「なんだぁ、著者のくせに!がはははは」とまた大笑い。やっぱり豪快な人なんです。
そんなわけで、食事をしながらセミナーの内容を打ち合わせして、その日はバイバイ。セミナー当日速めに会場に行くと、ルイスも来ていました。「リハーサルでもする?」と聞くと「いいよ、やればわかるよ」ってな感じ。馬鹿な話をしているうちに本番です。「やっとあの繊細なパーカッションが見られるぞ」僕は進行役というよりは1生徒になった感じでデモが始まるのを見守りました。「Ok, Conga!!」と叫ぶや否や、ものすごい音量で叩き始めたんです。結局最後まで彼の叩く音量はMAX。ド迫力でした。結局豪快な人だったんだ・・・・。 |