「ボカ〜ン!」はリズケンがお贈りするエンターテイメント・マガジンです。
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(テキスト:萱谷亮一)

 はやいもんでもう7月ですね〜。
 僕は今「レ・ミゼラブル」というミュージカルの稽古の真っ只中であります。今は歌合わせも終わり、いよいよ舞台稽古に入るので、オケは狭いピットにひしめき合いながらセッティングをしているところです。
 僕は今回ドラムパートですが、隣のパーカッションパートは、360°楽器に囲まれて大変だけど楽しそう。もちろんドラムパートも楽しいですよ。オケと歌が一体となったときは最高に気持ちいいですね。9月いっぱいまでやってますので興味があれば見に来て下さいませ。



【電子系打楽器その2】


 さて、先月から電子系打楽器についてお送りしております。ついこの前も、六本木PIT INNでの林正樹君のセッションにオール電子楽器で参加させてもらいました。
 その日はセッションだったので、どんな音楽をやるのか、はたまたどんな楽器を用意すればいいのか全く予想できなかったという点では、音源が豊富なシンセ「様々」といった感じでした。メンバー紹介の時も「パーカッション!」ではなく、「機械!萱谷亮一!!」と言われてしまい、複雑でしたが、自分的には上手く使えたかな〜、と思っております。


 しかし、やればやるほど「もっと上手く使いたい」という欲求が大きくなるのは電子楽器が無限の可能性を秘めてるからなのでしょうか?パソコンにしてもそうですが、一度ハマってしまうと、次から次へといろんなことがやりたくなってしまう・・・。そしてお金と時間をどんどん費やしてしまう・・・。もう今僕欲しい機材い〜っぱいあります!


 確かに電子モノを扱うには、なんだか生楽器を扱うのとは違う脳ミソを使うような気がします。でもそれは演奏する前の設定やら音色作りやらで、いざ演奏となると、最近の電子楽器は、生楽器と同じ感覚で扱えるんですね〜。

 これがもし、すごく違和感があり、ストレスを感じるようなら、僕も電子モノには手を出してないと思うんです。

 なのでココでは、電子系打楽器を「生楽器感覚」で使うということをテーマに進めましょう。要するに、パソコンとかを駆使して打ち込んだり録音したりっていうのは僕は良くわかりません!ってことです・・・。




【PAD系とエフェクター系】


 とりあえず電子系打楽器を大きく2つのタイプに分けてみましょう。

・1つはパッドを叩いて音源を鳴らす「PAD系」
・もう1つは、音色を変化させる「エフェクター系」

 PAD系は、シンセパッドやエレドラ、MIDIマリンバなどですね。それ自体が発音体のようなものなので、生楽器と同じような感覚で演奏することが出来ます。厳密に言うと少し違うかも知れませんがトリガーマイクもこの仲間に入るでしょう。

 最近のシンセパッドやエレドラは内蔵音源だけでもかなりの量と質を持っており、面倒な作業は必要ないので、どんな機械オンチでもそれなりに使うことができるはず。さらに20世紀音楽史上最大の発明といわれる「MIDI」(*MIDIについての説明は省きます。簡単に言うといろんな電子楽器や機材を統一して扱える規格みたいなもの)のお陰で、シンセやサンプラーなど外部音源も打楽器的に演奏できるんです。

 トリガーマイクも理屈はよく解りませんが的を叩いて音色を発音させてるのでPADと同じ役割だといえます。
 パッドの性能も設定次第でどうにでもなるし、上手く使えれば生楽器ではとうてい出来ないフレーズやパターンが出来たり、他の楽器に音量で負けることもありません。

 僕の考えではPADは、とっても優れた“打楽器”だと思っています。


 「エフェクター系」はマイクで拾った生音やパッドで鳴らした電子音などを、加工して変化させる機材を指します。エレキギターの人の足下にいっぱいある機械がそれですね。
 エフェクトの種類も沢山ありますが、リバーブ、ディレイなどの「空間系」、EQ、ワウ、ボコーダーなどの「ダイナミクス/フィルター系」、ディストーション、ファズ、オーバードライブなどの「歪み系」、フェイザー、フランジャー、コーラス、ピッチシフターなどの「モジュレーション系」などに分けられます。

 個々のエフェクター単体で使うのはもちろん、デジタル時代に突入し、一台でいろんなエフェクト効果を実現するマルチエフェクターという大変便利な代物も出現し、またいろんなメーカーから沢山のエフェクターが出ているので、なかなか取っつきにくいものがありますねぇ。
 さらにそのほとんどがギター用に作られた物で、全てが打楽器にすぐ使えるというわけではないので結構難しいんですよ。僕もまだまだ研究が足りません。

 トリロク・グルトゥやポール・ワーティコなんかも空間系のエフェクトを上手く使ってソロをとったりしてますね。


 2通りの役割の違いが解りましたでしょうか?

来月はいよいよ僕の使っている機材を紹介しながら、どんな風に使ったら面白いことが出来るのか、ちょっと考えてみましょう。


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