ココ試験に出ます 2004/4号
(テキスト:萱谷亮一)
3月はミュージカル「ユーリンタウン」で大阪と小倉に行って参りました。
こういう旅では、毎日みんなでその土地の美味しいお店に行って、お酒を飲んだりしながらいろんな話をするのが楽しいわけで、今回も沢山食べたなぁ。大阪では「焼き肉」、小倉では「おでん」が美味しかった。
で、食べた分は運動しなければと思って、ホテル内にあるプールで泳ごうと海パン持参で行ったんですが、空き時間の大部分はネットカフェで過ごしてしまい(読みかけのマンガを一気に読んでしまった)、結局一度も海パンをはくことはありませんでした。
案の定、体重は増え、ズボンも苦しくなってきました・・・。
このコーナー、最近やたら説明とか思想みたいなのが多くて、「全然訳にたたねぇよ」と言う声も聞こえてきそうなので、今回は久々に、ちょっと役に立つ
「スティック持ち替え術」
というテーマにしましょう。
御存知のように打楽器は叩く物によって音色が変わります。楽器の選択、チューニングなどと同じようにバチの選択にも神経を使うべきなのです。その結果、曲中に何種類ものスティックを使わなければいけなくなることもあるでしょう。
特に劇伴(芝居の音楽)なんかの仕事では、バチの持ち替えを無視した譜面が普通に出てくるので、奏者は即座にバチの選択や持ち替えるタイミングをも考慮して演奏しなければならないのです。
マルチパーカッショニストにとって大切なこの「持ち替え術」、ほんの一部分ですが身につけておくと非常に便利だと思います。
【4本マレットの持ち方を駆使する。】
マリンバやヴァイブラフォンなどで使う、片手に2本バチを持つグリップをそのまま活用して、何種類かのバチを一度に操ることができます(4本マレットの詳しい持ち方についてはここでは説明を省きます)。
例1:「ブラシ→スティック」
ジャズでよくあるブラシ→スティックへの持ち替えなどは、右手にあらかじめブラシとスティック両方をもっていればとてもスムーズに移行できるだけではなくブラシのパターンをしながらライドの音を加えることが可能です。 |
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例2:「シンバルロール→何か」
マレットを片手に2本持ってシンバルを間に挟み、力を抜いて上下に動かすとシンバルロールが片手で出来ます。その間にもう一方の手で次に音を出す物を用意したり譜面をめくったりするわけです。
音楽的にもシンバルロールは次の場面に向かって演奏する場合が多いので、持ち替えのタイミングに使える場面が結構あるでしょう。 |
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例3:「(スティック←→マラカスなど)2種類を交互に使う場合」
4本マレットの持ち方の中でもスティーブンスグリップという持ち方は、マレットがクロスしていないため、4本を独立して操れるという特徴があります。これを活かせば、写真のようにスティックとマラカスを同時に持っても、スティックで太鼓を叩くときはマラカスは鳴らず(激しく叩けば多少は鳴るけど)、マラカスを鳴らすときもスティックはあまり邪魔にはならないで演奏できます。
他にもマレットとスティックを交互に使ったり、固いバチと柔らかいバチを使い分けたりと、色々使えそうですね。 |
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【持ち替え無用マルチスティックを使った反転術】
一粒で2度美味しいマルチスティックをいろいろ紹介しましょう。
ブラシ&スティック、ティンパニ&シロフォンのマレット、マレット&スティックなど。トライアングルなど金物も叩けるように工夫されているのもあります。
これなら片手に2本持つ必要はありません。ただし、バランスが多少悪いので、スネアロールなどにはあまり適していません。 |
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「反転術」
これらのバチを反転させるにはどうしましょうか?時間があればどうやってでも反転できますが、一刻を争う場合には迅速かつ冷静に反転させなければ、間に合わなかったり、バチを落っことしたりしてしまいます。
人それぞれ得意な技を持ってるでしょうが、僕が良くやるのは、いわゆるスティック半回しや、マーチングでいう「FLIP(フリップ:はじくと言う意味)」というやつ。スティックを手から離して半回転させて取る技です。
これが一番速く反転できるし、両手を使わなくて良いので便利。見た目も派手。でも一瞬バチを手元から離すので、失敗するとお手玉状態になって、ともするとあらぬ方向へ飛ばしてしまったり・・・。バランスの悪いバチだと上手く回ってくれなかったりするので、練習が必要です。
そこでオススメしたい最も簡単で、速いやり方は、「そろえて左右持ち替え作戦」。 |
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上の写真の状態から、一度スティックを揃えます。この時一本は親指と人差し指の間、もう一本は人差し指と中指の間に挟みます。 |
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で、今まで持っていたのと左右逆のバチを持って手を開けば、反転完了。 |
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これなら落とす
心配もなく、慣れればかなり素速く持ち替えることができます。
いざというときに、使ってみてはいかがでしょうか。 |