今回は、来日記念ということで、ヴィニーを取り上げようと思います。ヴィニーをして「この人キテます!」なんて、そりゃもう当然の事ではありますが、過去2回、日本でのクリニックが計画され、2回とも直前にキャンセルされてしまっていただけに、今回2004年4月東京ブルーノートにて「JING CHI featuring VINNIE COLAIUTA, ROBBEN FORD and JIMMY HASLIP」で生ヴィニーを見ることができて本当によかったです。
もう20年も前になりますが、ジノ・ヴァネリの「Night Walker」というアルバムでヴィニーを初めて聴きました。僕らの世代では、こういう人も少なくないと思います。「なんじゃこの重くてトルクがあってフレーズが歌っていてテクニックバリバリなドラムは?つうかどうやって叩くとこんな音になるの?」と思ってクレジットを見ると「Vince Colaiuta」とクレジットされています。コレイウタ?なんじゃそりゃと思いつつ、もの凄い分厚いバックの演奏の中で、一際エネルギーを発しているそのドラミングには、ジャンルや好みを超えた魅力がありました。
その後、私はジョニ・ミッチェル、スティング、チック・コリア、カリズマを始めたくさんのヴィニーを聴きましたが、20年たった今でも「Night Walker」でのヴィニーのプレイが好きです。
さて、ブルーノートでは、なんとステージ中央最前列で演奏を聴くことができました。とにかくワクワクでしたが、その感想をいくつかまとめてみましょう。
1)抜群の安定感
テンポというものに対する感覚が、一般平均レベルの1万倍くらいあるんじゃないかと思いますね。そして、その精度を演奏で実現している。リズムマシンより安定している気がします。これはもちろんある種の例えではありますが、下手な打ち込みだと、MIDIの遅れって結構ありますから、これは本当にそうかもしれないとすら感じます。
2)貼り付くようなストローク
もしもスティックが鉄でできていて、タイコが強力な磁石だったら、こんな風になるのでは無いかと。ものすごいチップスピードでヘッドに向かい、叩いた直後、確実にある一定の時間はヘッドに叩きに行った腕が貼り付いているという感じです。
そうして出てくる音は、シェルが横に膨らむようなイメージです。タイコが中から破裂する感じ。かといって、これは実際に押し込んだり、ヘッドに当てつけているのではなくて、叩いた後に打面ギリギリで止まっている感じです。
もの凄いピンポイントに地球並みの重さがかかっているというような、ピアノシモからフォルテシモまで、すべてが気合い500%のショットです。ある意味濃すぎて気が抜けなくて、リラックスして楽しめないほどです(^^) あんなストローク、どうやったら身に付くんだろう(笑)
3)ソリッドなマスクとそうでない体型(^^)
ドラム雑誌などをみていると、ヴィニーの凛々しい表情が載っていたりします。キリッとしていて隙のないマスクですね。それに対して、体はというと結構横にもデカイ。で、ステージ衣装は結構ルーズなゴムパンツみたいなもので、あ、いや、実はすごいブランドのものだったりとかするのかもしれませんが、見る目の無い私および一緒に見ていた何人かはそう感じてます、ハイ。ま、ドラマーは汗もかきますからね、スポーツウェア系の人もいますけれども、ともかくそういう出で立ちだったので、顔はキリリ、体はデップリ(失礼)、という感じでした。まぁ、ある程度知っていましたが、想像以上でもありました。
以前、カーク・コビントンを見たときも思いましたが、やはりある程度の重量がないと、あれだけのビートは叩けないのかもしれません。
このほかにもヴィニーの特徴はあるわけですが、なんつっても、生でもCDでも、その凄さは変わらないですね。以前ボカ〜ンにもかいたことがあると思いますが、ユーミンのアルバムのメイキングビデオの中で、ヴィニーが叩いた「タチー」というピックアップフィルで仰け反ったことがありましたが、それはまさに想像通りの凄さでした。
ヴィニーを初めて聴いてから早20年。こんなに長い間、生で見ることがなかったなんて、自分はなんと不勉強なのだろうと思いつつも、今後の機会があったら、皆さんも是非体験してください。次は歌モノのヴィニーがみたいですね〜。