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(テキスト:ヤマムラマキト)
“この人キテます! 〜ドラムバカ一代〜” アンドレ・チェカレリの巻

 今回紹介するのは、フランスのドラマー、Andre Ceccarelli(アンドレ・チェカレリ)です。名前を知らない方も少なくないと思いますが、演奏歴および年齢は、重鎮の域に入るドラマーです。最近、「ユーロ・アート(Carte Blanche)/アンドレ・チェカレリ」というリーダー・アルバムを出したり、ヤマハからシグネイチャー・スネアを出したりしているので、日本でもにわかに話題に上るようになりました。

 私がチェカレリを初めて聴いたのは6〜7年前、SYLVAIN LUC(シルビアン・リュック)というギタリストの曲をバンドで演奏することになったからでした。「SUD/Sylvain Luc > Jean-Marc Jafet > Andre Ceccarelli」というアルバムの中の「AMESKERI」という5拍子のスイングで、大変美しい曲で、大変難しい曲なのです。5拍子とは思えないような自然なメロディとアドリブ、SYLVAIN LUCのギターの表現力に引き込まれてしまうのですが、ここで素晴らしいドラミングを聴かせているのがチェカレリなんです。

 チェカレリのドラミングは、5拍子のこのスイングを、決して奇抜で難解なアイデア優先の楽曲として聴かせないんですね。トラディショナルで正統派で、そしてポップで...。威張らず尖らず騒がず見せつけず誇示せず、大きくて優しいドラミングです。特に、2'32"〜2'42"あたりはギターのアドリブと相まって、もう涙が出ちゃいます。


SUD/Sylvain Luc > Jean-Marc Jafet > Andre Ceccarelli

 この曲を聴いてから、このドラマーは誰なんだろうとネットなどで調べたりしながら、どうやら弟や息子もドラマーであるということや、ヨーロッパではよく知られているということがわかってきました。そして、前述した彼のリーダー・アルバムを聴いて、今またさらに彼の魅力に引き込まれてます。


チェカレリ最新作:ユーロ・アート(Carte Blanche)/アンドレ・チェカレリ

 このアルバムの詳細はまた別の機会にしたいと思いますが、みなさんも是非聴いてみてください。アメリカのドラマーのような個性派というものでもなく、ユーロ・ジャズによく見られる(と私は思っている)サウンド優先ということでもなく、トラッドでテクニックもありサウンドもよく、暖かく力強く、活き活きと新鮮なドラミング。これはハッキリ言ってコンセプトの問題ではなく、ジャズへの想いなのでしょう。
 今年40を迎えた私の、新たな目標といってはチェカレリに失礼ですが、ここしばらくは聴きまくりたい人です。



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