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(テキスト:ヤマムラマキト)

“この人キテます! 〜ドラムバカ一代〜”

アントニオ・サンチェスの巻

 すごく気になっていながらも、マルコ・ミネマンやトーマス・ラングの来日で、自分の中で陰に隠れてしまっていた人、それがアントニオ・サンチェスです。焼いた肉をくるりと巻いて、タレをつけて食べると旨い...それはサンチュ。やっぱりフラメンコには欠かせないよねぇ...それはギターのサンチェス。

 アントニオ・サンチェスは、私はパット・メセニー・グループの「Speaking of Now」で初めてしっかりと聴きました。ポール・ワーティコがメセニー・グループをやめた!という衝撃的なニュースを聴いたときには、次のドラマーは誰か、ということよりもあのライブはもう聴けないのか...という気持ちもあって複雑でした。Speaking of Nowを聴いたときにも「ライル・メイズのサウンドと奥行き感が合ってないような気がするなぁ...」と思って、過去のメセニー・グループ・サウンドの想い出に浸ってしまったり(笑)

 まぁ、メセニーやライルやロドビーのプレイが耳に入ってくれば、アントニオのドラム・プレイを素で聴くのはなかなか難しいです。いろいろな先入観や記憶の中にある音が連結してきてしまいますし。それが、ある時に出先で時間ができたときに、なんとなく聴いてみたんですね。そうしたらもう入ってくる入ってくる。なんていうか浸透してくるんですね。

 いろんなジャンルが叩けるとか、テクニックがどうとか、サウンドがどうとか、変拍子やポリに強いとか、そういうことっちゅうより、とにかく音楽の申し子なのでしょう。もう、ここで紹介しておきながら、なんかどう凄いのかを言葉にすることを諦めてます私...。

 なんていうんでしょうか、もうドラムってのはこんな次元で演奏しない限り仕事取れないんでしょうか(笑)メセニー・グループ、クリスチャン・マクブライドとのメセニーのトリオ、ブレッカーの新作など、第一線でバリバリ活躍してます。とにかく聴いてみましょう。好き嫌いもあるかもしれません。しかし、演奏しているところを想像してみてください。「真似しても意味無いな」と思わせるドラミングだと思います。これ、とても大事なことだと思うんですよ。トーマスやマルコを真似しても、所詮本人は越えられません。もちろん真似できたらそれだけでも楽しいでしょうけどね。でも、自分としてはどう音楽にアプローチするのか、そういうところに連れて行ってくれるのがアントニオではないかと。みなさんも是非時間を作って聴いてみてください。また、アントニオのホームページもあって、セッティングなども細かく紹介されていますので参考にしてください。


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