●あなたの「好き」で、必要な音がすべて出せますか? |
あなた自身の好みにしたがって、お気に入りの楽器を手に入れたとします。始めのうちは、その楽器で100%満足できると思います。しかし、人間という生き物は、自分自身のレベルが上がってくると必ず欲求のレベルも上がっていくものです。(ここで言う「レベル」というのは、演奏技術、音作り、アレンジ能力などの事。)そうです、あなた自身のお気に入りレベルも確実に上がってくるのです。
そして、最初に手に入れたお気に入りの楽器だけではカバーできない音色がある事に気づいてしまうのです。もちろん、あなたの好きな音色である事が楽器選びの基準ですし、それで絶対に間違いありません。しかし、楽器にはそれぞれ特性、許容範囲というものが存在し、能力以上の事を要求してしまうと途端にまとまりが無くなってしまうのです。演奏したい曲の幅が広がれば、あなたが求めるサウンドにも幅が出来てくるのです。
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●「好き」から一歩進んで、「必要性」「必然性」を考える。 |
楽器のサウンドを決める要因 |
上の図をご覧ください(汚い図でごめんなさい。でも、書いた本人はそーとー気に入ってます)。楽器サウンドは、様々な要因が重なり合い、絡み合い、絶妙なバランスとケミストリーの上に成り立っている事がお分かりいただけると思います。
楽器のサウンドを言葉で表現する場合、「タイトで明るい。」「ルーズでソフト。」など、色々な言い方をしますね。サウンドを形成している要因のうちの、目立つものを指してこのような表現になるわけです(但し、これらはあくまで感覚的なものなので、すべての人が同じ感じ方をする訳ではありません)
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色々な要素が混ざり合って出来上がったサウンドは、それこそ楽器が100種類あれば100種類のサウンドが存在するといって良いでしょう。
楽器Aはかなり極端に「理想的な楽器」(すべての要素がバランスよく、しかもかなり高いレベルでまとまっている事)を表わしています。でも、実際にはこんな楽器はあるわけが無く、楽器BやCのように「この部分はかなり良いが、こっちの部分はちょっと足りないかも?」というふうに成っているはずです。あなたのお気に入りの楽器もこんな風にチャートのどこかの部分に偏った形で存在しているわけです。
新しい曲を作っていて(練習していて)、「なんかこのスネアの音がしっくりこないなー。」と感じた場合、その曲に果たしてこのスネアの音が合っているのかどうか(必然性)を考えてみて下さい。すなわち、どの部分が足りないのかを探るわけです。逆に新しい曲にトライする前にどんな音がマッチするのか(必要性)を考えてみて、自分の楽器をそのイメージに近づけていく努力をしてみるのも良いでしょう。
あれこれ試してみて、あなたのお気に入りのスネアの能力を超えた部分に、その曲にぴったりなサウンドがあると思った場合は、どうしたら良いでしょう。
こうして、ミュージシャンの手元にどんどん楽器が増えていってしまう事になるのです。
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●あなたにとっての「必要性」「必然性」に従えば、悩む事はありません! |
でも、どうして色々欲しくなったり、逆に何も持っていない人がいるんでしょう?
皆さん、ここまでの話で、なんとなく結論が見えてきていますね。
そーです!あなた自身が「必要性」を感じ、「必然性」を感じたものは、どーしても欲しくなってしまうものなのです(世に言う、物に呼ばれちゃった現象です)。
逆にそれらを感じないのであれば、別に無理して買う必要は無いのです。ですから、何も楽器を持っていない事がダメな訳ではありません。
でも、本当に何も要らないんでしょうか?
確かに、スタジオに行けばドラムセットはあるし、家にセットがあったからと言って実際に叩けるはずも無く、持っている意味が無いと言われてしまえばそれまでです。しかし、自分の楽器を持っていなければ身につける事が出来ない事があるのも事実です(それが何かはリズケンの先生に聞きましょー)。いずれそれに気がつく時が来ると思います(気がつかなければ必要性なんか感じませんよね)。
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●というわけで、 |
あなた自身が、何らかの目的のために何かを必要だと考えたり、何か創作活動していて「やっぱりこうでなくちゃ!」という必然性を感じた場合、素直にそれにしたがって下さい。あれこれ欲しくなってしまうのは病気ではありません。それだけ、サウンドに対する欲求が高い証拠です。
逆に何も必要性が感じられず、楽器なんて買う必要ないと思うのであれば、それはそれで良い事だと思います。(世の中には、何を使っても同じ音を出せる人がいるらしいし......。)
楽器選びのポイント!「好き、嫌い」の次は「必要性、必然性」です。
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