●「物体に加えた力の総和は常に等しい(但し、摩擦や空気抵抗の影響を無視した状況で)。」
「物体の運動エネルギー量は、その物体の重量と速度の積に比例する。」 |
打楽器は当然のごとく手やスティックなどによる打撃によって発音するものです。スティックを振り下ろし、ヘッドに対して100の力を加えたとします。その際、この100というエネルギーは様々な運動や振動に変換されます。ヘッドを振動させる。シェルを振動させる。楽器を揺らせる、もしかしたら楽器自体を動かしてしまうかも知れません。このそれぞれの運動や振動に分散された力の総和が100になるわけです。
また、重いスティックを速い速度でヘッドに向かって打ち下ろす事が出来れば強い力を与える事が出来ます。この2つ事を踏まえて楽器の音の大きさについて考えてみましょう。
大きい音を出したければ当然、楽器に対して加える力を大きくしてやれば良い事はお解りいただけますよね。スティックが一種類しか無いとすれば体重が重い(腕が太く、重い)方が有利ですよね。反対に軽いのであれば、スピードでパワーを補う事も可能なわけです。
でも、見方を変えればこういう言い方も出来ます。すなわち、加えた力が大きくても、スネア自体が動いてしまったり、音が歪むほどの圧力を加えてしまったり(=音を出すためには不必要な要素)といったことが無い様に、加えた力を100%、音を引き出す事に使えたのであれば、そんなに力は要らないという事です。
質問の「よい音」とはちょっと違いますが、楽器をめいっぱい鳴らすという事を前提に考えた場合、体の大小は問題にしなくても大丈夫じゃないでしょうか。でも、大きいほうが楽な事は多いですけど....。あまり気にしないほうが良いんじゃないかなー。でないとオレは.....すねてやるー!
そんな事を気にしている暇があったら、どうやったら効率よく楽器を叩く事が出来るのか、どうやったら楽に体を使う事が出来るのかを考えたほうが良いです。絶対に!
だから著名なプレイヤー皆さんは、
「からだの力を抜け」
と言うのです。
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●「打楽器の音程はその楽器の打面の口径(面積)又は張力に比例する。」
「打楽器の音質はその楽器を作っている素材や構造に比例する。」
「打楽器のサウンドの善し悪しは結局それを使うプレイヤー次第。」 |
音質(音量)に関しては、体格は関係ない事になりました(というか、そういう事にしておいて下さい)。では、体格と楽器の大きさの関係はどうなんでしょう?
大は小を兼ねる。過ぎたるは及ばざるがごとし。山椒は小粒でもぴりりと辛い。物の大小の善し悪しを言い表わす言葉には色々なものがあります。でも、楽器にこれらの言葉は当てはまるのでしょうか。
体が小さいから股間にスネアを置くと足にあたって痛いとか、タムが高くて叩きにくいという話は、たまにですが耳にする事があります。じゃあ、単純に小さい楽器を使えば良いじゃんとはいきませんね。
14”のスネアが大きすぎるからといって何も考えず10”のスネアに変えてしまったらどんな事になるでしょう。楽器というのはそもそも音楽を構築している音を奏でるものです。であれば、あなたがイメージするサウンドが出せる楽器を選ぶ事になりますね(以前のコラムでいったとおりです)。
楽器にはそれぞれ特性があり、曲調などによって向き、不向きがあります。体がでかいからといってJAZZ、しかも小編成のバンドで演奏するのに24”のBDを使ったらどうなりますか?逆に体が小さいからヘヴィーメタルをやっているけどBDは18”といったらどう思いますか?ちょっと極端な例に走ってしまいましたが、そういう事です。見た目のイメージも大切ですし、音質重視で選べばちょっと大きな楽器だからといって使わないというのは本来の目的に反します。
トゥンバの音は、キントでは出せませんからねー、編集長(ちょっと前のボカーン広告の編コラはかなりぐっと来ましたね)!
(その通りです。割り込み失礼ッ。by編集長)
というわけで、楽器は音重視で選んでこそ楽しい器になるものですから、その辺をよく考えて下さい。
とは言え、やっぱりどうしても体格的に無理がある場合どうしたら良いのでしょう。(実際、私もベースをやっていたのですが、体が小さいのに音質重視ででかいベースを使っていて、あまりの不釣り合い加減に自分自身でカッコわるいと思い止めてしまった経験があります。)
この問題はめちゃくちゃむずかしーぞ!!!!!こうなったらセッティングを思いっきり変えてしまうとか、小さいセットにトリガーを組み込んで、でかいセットの音を出すとか、だったら最初からエレドラ使っちゃえ、といった飛び道具に頼ったほうが良いかも。
実際に体が小さいことで悩みを抱えている人がいたら、1度みんなで意見交換をしてみましょう。何か面白いアイデアが生まれるかも知れませんね。何か画期的な楽器が誕生したりして!
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●今月の結論 |
体格の差は、努力と知力で必ず補えます。
でも、打楽器においては、体が大きいほうが楽な事が多いです。うらやましー! |