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楽器オモテウラ話 2004/4 号
(テキスト:西尾健二)

ためになるかどうかはあなた次第!?
「ドラマーのための雑学講座」



 最近、本当にネタがない。そろそろ自分の能力の限界を感じつつパソコンを前に四苦八苦しております。毎月月末が近づくたびに
「今月は何を書こーーーーーー?」
と悩むわけです。
 あまりにもマニアックなことを書いてみんなに引かれてしまってもなんだし。

 と、言いつつ今月はかなりマニアックな題材で進めさせていただきます。


テーマはなんと「ネジ」

 専門家ではないので詳しいことまで聞かれてしまうと説明できませんが、自分で調べた範囲で書いてみることにします。


第1章 ネジの原理

 ネジにはオスとメスがあり、どちらも一定の規格に沿った溝がスクリュー状に刻まれています。オスネジとメスネジの溝が噛み合い、溝に沿って回っていくことによりいろいろな物を締め付けたり、固定できることになるわけです(ってわかってますよね)。

 では、なぜねじはあんな形になっているのでしょう。

 これは重量物を引き上げる際に斜面を利用すると少ない力で持ち上げることが出来る原理の応用なのです。

 重たい物を直接上に持ち上げようとすると、その物体の重量より大きな力が必要になります。でも、斜面上の物体の重量は地面に対して垂直方向と斜面に並行した方向の2方向に分散されるため、引き上げるために必要な力は軽減されます(ただし移動距離は長くなります)。この斜面を金属の棒にくるくるっと巻きつけていくとネジになるわけです。


第2章 どうしてネジで固定できるわけ?

 皆さんはネジ(ボルト&ナット)がどうして色々な物を固定できると思いますか?

 ほとんどに人は「ネジで固定したい部分、または固定したい物どうしを締め付けるから」

だとお考えだと思います。私もつい最近までそう思っていました。

しかし、そうではないようなんです!!!!!ネジの仕組みは大雑把に言うと硬いスプリングのような物らしいです。

 ボルトと相手材の弾性バランスが保たれることで締め付けが可能になります。そして、ネジ面と座面の摩擦によって戻り回転をせずに弾性バランスが保たれるため緩まないことになります。したがって、劣化等によりボルト、相手材のどちらかの弾性が低下すると緩みやすくなります。


第3章 ネジと上手く付き合うための約束事

 ドラムセットには色々な個所にネジが使用されており、万一だめになってしまうと最悪の場合その楽器が使えなくなってしまいます。お店でも良く「ネジがだめになっちゃって!」といった相談を良く受けます。
 しかし、壊れた物をみるとほとんどの場合「正しく使っていれば壊れることは無い」状態です。では、ネジを破壊しないためにはどのような点に注意すればいいのでしょう。

1、ネジは強く締めすぎると良く緩む。

 これは意外に思うかもしれませんが、先に述べた弾性バランスに関係してきます。
 適正なトルクを超えると金属の弾性破壊が起こります。微妙なバランスが崩れ緩みやすくなるわけです。相手材やネジによって締め付ける部分がアルミ等のやわらかいパーツの場合はパーツ自体の変形にもつながり緩みの原因となります。

2、ネジは強く締めすぎると壊れる。

 皆さんの中にはネジを締めるときスティックを使って思いっきり締め付ける人がいるかもしれません。もし、やっているというのであれば今すぐやめてください。

 そもそも楽器に使用されている、しかも普段から調節をするような個所に使用されているネジは、それほど大きなトルクをかける必要はありません。
 強く締めすぎるとねじ山の破壊や下手をするとパーツ自体の破壊につながり取り返しのつかないことになります。適度なトルクでしっかり締め付けてやれば止まります。

3、ネジの締め付けが甘いと破壊が進む

 なんでやねん! と思う人がいるかもしれませんね。
 ネジは適切なトルクがかかっている場合は色々な外力をボルトやその他パーツが分担して受け止めています。しかし、締め付け力(固定力)が弱い場合、その外力をボルトが一手に引き受けてしまいます。したがってボルトの金属疲労が促進され破壊につながっていきます。


第4章 楽器を長持ちさせるネジの管理

 前章に述べたようにネジは適正な使い方をしないと壊れてしまうことがおわかりいただけたと思います。ということは、ちゃんとしたネジの締め方、管理の仕方がわかっていればネジ馬鹿による楽器やハードウェアの故障は防げるということです。
以下のことに注意して、楽器を大切にしてください。


1、ネジは強すぎず、弱すぎず、適切なトルクをかける。緩むのが怖いからっと言って、強く締めすぎると逆に緩みやすくなり、最悪の場合楽器を壊してしまいます。

2、ラグ等を固定しているネジは定期的に増締めをしてあげることで常に適切な締め付け具合うぃ維持しましょう。増締めと言っても、闇雲に締め付けるのではありません。締めすぎはシェル振動をスポイルし鳴りが悪くなったり、ラグを破壊する恐れもあります。あくまでも適正なトルクで!

3、ネジを回していて、少しでも引っ掛かりを感じたら無理に回さず、ネジの状態をチェックしましょう。破壊が進行したボルトやナットを使いつづけると楽器に悪影響を及ぼします。


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