オスススメ倶楽部

「ボカ～ン!」はリズケンがお贈りするエンターテイメント･マガジンです。
リズケン・スタッフや外部ライターの方による傑作をお楽しみください！

	リズケンスタッフが月代わりで紹介するオススメアルバム。今回はクリスマス特別企画。リズケン大将江尻憲和氏がクリスマスナイトにピッタリな一枚を紹介してくれました。
	「SOMETIMES LATE AT NIGHT 」　CAROLE BAYER SAGER
	この１０年ほどCDをあまり聴かない。　これは他でも書いたような気がするが近頃の音楽は「音」ではあるが「音楽」ではないように感じてしまうからだ。　たまには聞くけど「聴く」に値するものはめったにない。音楽ってその人の現在のバイブレーションに共鳴してハートで感じるもの。あまりに作為的な作った音楽（音？）が多すぎる。作品って能動的に作るものではなくて受動的に創る「出てくる」ものだと信じているんだけど、この頃のCDにはその気配は無い。　なにが足りないのか？ようするに「ミューズの女神」が耳元でささやいてから贈られたギフトじゃなかったり、鯉、モトイ「恋」に落ちる（Falling love)状況とか、そんな生身の人間の持っている不思議なモードに入った時にしかわからないロマンティックでエモーショナルな感性が欠けているからかもしれない。　「おい、そんな場合じゃないだろー」とばかりな実利的な雰囲気ばかり・・。　“ロマンティック”などという言葉はあまり巷では語られなくなってしまった感があるけどこのアルバム（これも死語かな？その昔は本当に写真のアルバムを開くようにレコードを聞いてたんだけど）は「恋」という刹那的な波動で100％満たされている。　耽美的でエロティック、芳醇なフレグランスな恋の香り・・・。それはベートーベンの人類愛やショパンのピアノで書いたラブレターのような気負った表現ではなく、平安時代の恋文のように、たおやかな女性のささやき、ベットで語られる愛の言葉・・・うーん、大人しかわかんない世界かしら。　クリスマスの夜に明かりを消して二人でそっと・・。場合によっては一人でしっとりと・・、またデートの帰りに車で夜の高速を流しているときにそっと・・。　間違っても「おー、ポーカロかー」とか「ケルトナーだよこりゃー」なんて野暮な分析耳で自慢げに解説なんかしてはいけません。それはお子ちゃまでございます。　本当に音楽をハートで「聴く」ためにはスペックを見てから聴いちゃいけません。　この作品は生々しい恋を感じさせてくれる稀有な「音楽」で、ジャンルはAORだとか英語がわかんないとか誰がバックでやってるなんてことは関係ありません。（たぶんミュージシャンも解ってそのあたりの気配を消してます）ただ静かに黙って蝋燭の火を灯して聴いてくださいね。ちょっとだけ解説しておきますが・・１．キャロル・ベイヤー・セイガー（作詞家、シンガー）の３作目のアルバム　　（１９８１年録音）２．当時バート・バカラックと熱愛中。（その後に結婚したけど・・やっぱりね）３．アナログレコードではA、B面それぞれ全曲つながっていて全部メドレーという珍しい作品４．CD化は不可能と言われていたが最近アメリカで復刻されマニアは狂喜。しかし曲はバラバラにされ音飛びや曲削除、ものすごいことにモノラルになってるという噂もあり。（買ってないので未確認）タワーレコードに輸入盤の在庫あるらしいが・・わかんないです。（リズケンにアナログ盤あります）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　江尻憲和（実はロマン派） ※CAROLE BAYER SAGER / SOMETIMES LATE AT NIGHT ('81) BURT BACHARACH : PRODUCER BROOKS ARTHUR : PRODUCER DRUMS : JEFF PORCARO, JIM KELTNER, DENNIS St. JOHN BASS : LEE SKLAR, REINIE PRESS, GUITARS : LEE RITENOUR, PAUL JACKSON, TIM MAY, FRED TACKETT, NEIL DIAMOND KEYBOARDS : BURT BACHARACH, DAVID FOSTER, ED WALSH, IAN UNDERWOOD,TOMHENSLEY PERCUSSION : PAULINHO DA COSTA, VINCE CHARLES BGV : RICHARD PAGE, STEVE GEORGE, VENNETTE GLOUD, MELISSA MANCHESTER . . . and others 1.　PROLOGUE 2.　I WON'T BREAK 3.　JUST FRIENDS 4.　TELL HER 5.　SOMEBODY'S BEEN LYING 6.　ON THE WAY TO SKY 7.　YOU AND ME(WE WANTED IT ALL) 8.　SOMETIMES LATE AT NIGHT 9.　WILD AGAIN 10. EASY TO LOVE AGAIN 11. STRONGER THAN BEFORE 12. YOU DON'T KNOW ME 13. REPRISE