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今月のおすすめ担当  リズケン研究生・那須野綾
「NEW YEAR'S CONCERT 2002」
 新年明けましておめでとうございます。お正月は皆さんどのようにお過ごしでしたか?私は元旦にウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートをテレビで見てとても感動し幸せな気持ちになりました。

「クラシック音楽もいいものだなぁ」

と心から思いました。指揮者が初の日本人ということもあったのでしょう。
 この公演はすぐにCD化されました。話題になっていたのでご存じの方もいるかと思います。というわけで、私が今回おすすめするアルバムは

「ニューイヤー・コンサート2002」(小澤征爾&ウィーン・フィル)

です。クラシック音楽に素人の私が思ったことを勝手に書いていきます。気楽に読んでください。

 「毎年正月にやっているコンサート」としか認識していなかったのですが、そもそもウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートはどうして有名なのでしょう?そこには長い歴史がありました。


 1827年、23歳のバイオリニスト、ヨハン・シュトラウスが小編成の楽団で演奏会を始めます。やがて首都として急速に発展するウィーンで毎日演奏されるようになり、舞踏曲中心の彼の音楽は、当時ダンスに夢中だったウィーンの人々の人気の的となります。
 その後ヨーロッパに進出し各地の音楽もどんどん取り入れて曲を作っていきます。この音楽への柔軟な姿勢は息子のシュトラウス2世にも引き継がれたようで、この2世は新しいダンスが流行るとすぐその流行に乗り曲を作り、チケット代を安くして一般市民のためにも演奏したそうです。
 シュトラウス2世が病気になると弟のヨーゼフが作曲して活躍し、ヨーゼフが頭痛で倒れると今度は末の弟エドゥアルトが楽団の指揮を務めます。ヨハン・シュトラウス亡き後も、このように助け合って息子達による音楽活動は続きます。

 (ここまで調べて「どうりでワルツが多いワケだ・・・」と納得。そして、CDにある作曲者名を見て「なるほど、シュトラウスって人ばっかりだ・・・」と感心。)

 この大人気のシュトラウス家が生み出す音楽をトップクラスのオーケストラが演奏するようになるのは自然な流れだったのでしょう。
 また約1400曲という楽曲数も大きな存在力を担っていると思います。これだけあればコンサートのネタに困ることはありません。
 そしてシュトラウス達が引退した後も彼等の曲は演奏され続けます。
 戦争でオーストリアがドイツに併合された年にもウィーン・フィルはシュトラウスを演奏しているそうです。ナチスもシュトラウスを禁止しなかったんですね。世界に愛されるまでになったシュトラウスの音楽はウィーン音楽の中心的存在となり、今日の世界中に知られるニューイヤー・コンサートに発展していったようです。

 シュトラウス達が作った楽曲で構成されるコンサートだったわけですが、それにしても毎年耳にするワルツや行進曲が今年は際立って心地よく聴こえました。これが指揮者の違いでしょうか。
 「世界のオザワ」と言われる人の指揮は、まるでバンドに踊らされているようにその音楽を表現していました。その手と動きと顔の変化が美しく、魅了されました。すごく自然に指揮台の上にいる人でした。

 指揮者というのはバンドをコントロールするものと考えがちですが、コントロールする・されるではない一体感がすばらしかったです。
 
 クラシック音楽とはいっても、今このときのエネルギーを感じました。そして、ライブならではのお客さんとの一体感が、演奏に暖かさを加えていたようです。
たくさんのポルカやワルツで体がむずむずしてきて、アンコールの「ラデッキー行進曲」ではきっとあなたも指揮者になりきって手を振り回すはずです。ウィーンの会場のお客さんはきっと踊りたくてしょうがなかったんじゃないでしょうか。


 おすすめアルバムと言っておいてなんですが、このアルバムというよりも、クラシック音楽(ここではオーケストラ)を気楽に聴いてみることをおすすめしたいという気持ちで書いています。
 よく知らないという理由もあってそれぞれの曲については書きませんが、電気を通さないで出す楽器の生の音、あの大人数のアンサンブルには、どんなハードロックバンドにもない独特の迫力があります。
 音が広がったり、消えていったり、響いたり、爆発したり、光ったり…と立体感があります。

 堅苦しく考えずに、このアコースティックな音楽を聴いてみてください。聴いたことのあるメロディーに耳を傾けたり、次々とそれに重なったり答えたりする音を見つけてみたりしてください。
 くすぐったくなるような弦楽器のビブラート、その辺りの空気を埋め尽くしていくようなクレッシェンド、キラキラしているトライアングルの音色、キーンとして気が遠くなっていきそうなバイオリンの高音、管楽器の息継ぎをして音を出す瞬間、など楽しめるところがいっぱいです。

 音楽をやっている人はインスパイアされる部分も多いはずです。

 私はこれからもクラシック音楽を少しずつ聴いていこうかなと思っているところです。そして、今年はコンサートホールに生のオーケストラを聴きにいこうと思います。

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