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今月のおすすめ担当  リズケン研究員・萱谷亮一

「SPIKE JONES goes classics」
「the best pop's of SPIKE JONES」
  オススメしたい音楽は、その時の気分によって違うもんです。後になって、自分で
「何でこんなの紹介してるんだ?」
と思うかも知れないけど、今はこの気分なんです。別に奇をてらった訳ではありません。

 「冗談音楽の元祖、スパイク・ジョーンズ(1911〜1965)」

 実は僕自身、彼の音楽に触れたのは、つい最近のことなんです。知ってる人にしてみれば「何を今更」って感じでしょうが、僕にとっては全く斬新な音楽に聞こえたんです。


 去年の夏、「三文オペラ」という音楽劇をやってたとき、音楽監督の宮川彬良さんに、

「もっとスパイク・ジョーンズみたいな感じでやって」

と言われて、即座に対応できなかったのが悔しくて、それ以来CD屋に行っては彼のCDを探していたのですが、ようやくこの2枚のベスト版を見つけたときにはとっくに「三文オペラ」は終わってました。
・・・で、家に帰ってさっそく聴いてみたところ、大爆笑!! 思わず声を出して笑ってしまいました。ひとりで。

 だって、人が真面目に聴いてんのに、有名な曲の美しいメロディを、音程のついたカウベル、犬の鳴き声、挙げ句の果ては「うがい」でやってるし、リズミカルなデキシーランドに載せて、フライパンやホイッスル、タクシーホーン、ガラスの割れる音、さらに「くしゃみ」や「ゲップ」まで飛び出すし・・・。
 歌詞だってとんでもない。例えばJ.シュトラウスの「美しく青きドナウ」を「ドナウ川は青くもなければ美しくもない。ありゃ緑色だ。」と歌ってみたり。
 とにかくハチャメチャです。子供のころに大好きだった「トムとジェリー」の音楽に近い感じ、といえば分かる人は多いはず。

 しかし、彼の音楽の最も重要なポイントは、「本人 大マジメ」ということ!!

 彼自身11才からドラムを始め、自分のバンド活動をやるまではハリウッドのスタジオミュージシャンだっただけあって、打楽器を非常に有効に使っているのです。バックの演奏も当時の録音技術を考えると、なにげに超絶技巧で、とにかくセンスがいい。
 ただふざけてるんではなく、真剣にエンターテインメントを追求しているのです。賛否両論あると思いますが、僕は彼の音楽に触れてから、なんとなく引き出しが増えたような、得した気分になりました。
 もっと早く知っておけば三文オペラでのアプローチも確実に変わっていたでしょう。今では非常に悔しい思い出です。

 とりあえず、聴きやすいベスト版ですので、もってて損はないと思います。

「SPIKE JONES goes CLASSICS」がクラシック編
「The best POP’S of SPIKE JONES」がポップス編です。
 1枚¥2,100-とお求め安くなっております。

※あなたの音楽性を損ねる危険性がありますので、決してマネしないように!!

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