私事で恐縮なのだが、私は1年半前に結婚した。そういえば「ココ試験に出ます」の萱谷氏も結婚した。めでたい事ではあるが、結婚とは何ともふかぁーい問題を抱えている。
基本的に
「お互いに幸せになろうね!」
という合意のもと結婚すると思われる。誰も好きこのんで不幸になりたくて結婚する人はいないだろう。
一昔前、「三高」と言うモノがあった。独身女性が男性に求める条件である。もう今はそんなものは関係なのだろうと思っていたが、これがそうでもないらしい。現在でも、独身女性が男性に求めるのは
「いい職業」「お金持ち」「学歴がいい」
というのが上位にきているという。職業にそんなにこだわるのか、金さえあれば幸せになれるのか、アナタの頭を磨きなさい!と、そんなことを言う女性にバンバンバンッと机を叩きながら叫びたいくらいである。
結婚とは1人でするものではない。望んでばかりでいいのか。一緒に幸せについて語り合うことぐらいしなさい!と声を大にしてしまうのであった。
そしていざ結婚しましょうということになると、いろいろ厄介な問題が出てくるのだ。プロポーズや親への挨拶である。
「カッチョ良くプロポーズをしなければ。」と頭を悩ませたり、親との遭遇で「あのぅ、そのぅ・・・。モジモジモジ。」となかなか言うタイミングをつかめなかったり、「私ねぇ、ウエディングドレスが着たいわ。お色直しは3回。もちろん新婚旅行はハワイね!」と女性にせがまれたり。本当に結婚とは大変なことなのである。
しかし、ここに美しく素晴らしい、お互いに幸せになっている結婚が誕生した。このアルバムは、キューバのクラーベとニューオリンズのセカンドラインが結婚したという、とにかく極上の幸せである。
しかし、この結婚には長い年月が経っていた。
フランス領だったニューオーリンズの街は、太鼓の使用が条件付きで認められていた。さらに、「コンゴ広場」と呼ばれる場所で、週末だけは太鼓の演奏とダンスを認められていたのである。このおかげで、この地域にだけアフリカからやって来た太鼓の文化が伝えられていった。
そしてもう一つ。この街がアフリカとの奴隷貿易の拠点として、カリブ海などへの玄関口であったのもニューオリンズの音楽に大きな影響を与えた。そのほか港町ならではのバーやナイトクラブ、娼婦宿が集まる歓楽街でもあり、そこには白人、黒人、混血、カリブの島々の独特の文化が持ち込まれたのだ。
多くの共通点があるものの、キューバとアメリカが国交を断絶してから、カリブの音楽は入ってこなくなった。そこでジャズが盛り上がっていったという説がある。しかし、めでたく国交再開したところ、こんなにも幸せな出会いがあるとは予想しただろうか。
このクバニスモは、シエラマエストラにも所属していたヘスス・アレマニーがリーダーの、トップ・ミュージシャン達によるプロジェクトバンド。そんな彼らがニューオリンズのジョン・ブッチェ&ザ・ヨッコモ・オールスターズと共演したのだ。
キューバ音楽とニューオリンズのセカンドラインが見事に融合し実に心地よい音楽に仕上がっている。
人に望んでばかりいる女性にも、文句ばかり言っている男性にも、新婚ほやほや仲良し夫婦にも、是非とも聴いて貰いたい。そして私も、これだけ美しく可憐で粋で優雅な、とにかく至高のグルーヴが出せる夫婦になりたいものだなぁ、と思うのであった。 |