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今月のおすすめ担当 リズケン研究員・
則包 桜
「organic」MY LITTLE LOVER
一昨年前の12月に発売されたマイリトルラバーの「organic」というアルバムがあるのですが、一曲パーカッションで参加しているので紹介させて頂きます。
私の高校生時代はマイリトルラバーやMr.childrenと共に過ごしたと言っても過言ではないくらい、彼らの音楽と日常が一つに繋がっていて、当時の歌を聴くとあまりの懐かしさに心底震えてしまいます。
きっとそういう感情を覚える歌は、誰にでもあるのじゃないでしょうか。
そしてそんな数々の名曲を生み出し、プロデューサーでもある小林武史氏はもちろん憧れの人でした。そんな方と縁あって出会い、レコーディングに参加させて頂く事になったのです。
それが、このアルバム「organic」の中の7曲目「Free」という曲です。
事前に担当の方から聞いていたのは、アルバムの中の一曲にタンバリンを試しに入れてみて欲しいという事だったので、てっきり新しい曲だと思い込んで行ったのですが、渡されたコード譜には「Free」の四文字。
話を聞くと、一昨年の夏3千人限定でインターネット上で公開されたアコースティックライブの音源に、パーカッションでリズムをプラスして欲しい、という事でした。
最初は軽くタンバリンでもいれてみよう、という感じでしたが、私がコンガも持ってきている事が判明するや否や、小林氏に「試してみたい。」と言われたので、結局コンガから録る事になりました。
一般的にレコーディングというと、まず曲のテンポを決めてクリック(メトロノーム)に合わせて録っていくか、その場の臨場感を重視してみんなで一斉に演奏して録る(いわゆる一発録り)のが主流なので、こういうレコーディングは珍しいのではないでしょうか。
リズムセクションが全く入っていないライブ音源に、コンガをいれるのはけっこう難しいものです。その日その瞬間に居合わせていないけれども、同じ高揚感を味わって演奏しないと温度差が出てしまうし、リズムセクションとしては結果的に自分が軸にならないといけないし、ライブなのでもちろんテンポは揺れているし、、、。
頭ではなんだかんだ考えていても、その音楽に全身で集中し、感じて演奏すればそういった事は結局解消されると思うのですけど。というかその時の私にはそうするしか術がなかったのですが。
各セクションに分けて少しずつ録音していき、テンポに乗りきれず録り直したりしながらなんとかコンガを録り終え、続いてサビ(歌の盛り上がる曲のメインになる部分)にタンバリンを入れることになりました。
タンバリンは、パーカッションの中で分類すると「振りもの」と呼ばれ、一見簡単そうで実は一番難しかったりするのですが、今回は入れる場所もそんなにたくさんではなかったし、意外とスムーズに録り終えました。
これで一応いいかな、という所だったのですがウインドチャイムを一箇所入れてみたいという事に意見が一致して、最後に少しだけウインドチャイムを録音しました。
この時も1テイク目でOKになったのですが、小林氏の「もう1テイクやるとどうなるのか試してみたい。」の一言に、確か3テイクぐらい録ったと思います。
余談ですが、その時「演出的でとても美しい。」という言葉を頂いて、あまりにも嬉しかったので現在リズケン講師プロフィールにそのまま使わせて頂いています(笑)。
そしてもう一枚。マイリトルラバー最新シングル「風と空のキリム」の中の「深呼吸の必要」と「反復と労働」にも参加しているので、是非聴いてみてください。
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