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「ボカ〜ン!」はリズケンがお贈りするエンターテイメント・マガジンです。
リズケン・スタッフや外部ライターの方による傑作をお楽しみください! |
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今月のおすすめ担当 リズケン研究員・高取 岳志 |
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「Standard
Influence」John Tropea |
最近、夜中に家に帰ると虫の鳴き声が聞こえてきます。おそらく鈴虫だと思いますが、この鳴き声を聞くと、季節が秋になってきているなぁと感じます。
日本の四季はどの季節も素晴らしいですが、その中でも季節が移り変わっていく時が一番好きな研究員の高取です。皆さんこんにちは。
今回紹介するアルバムは、秋の夜に聞くのにとても合っている素敵な作品、ジョン・トロペイの最新作、「スタンダード・インフルエンス」です。
このCDは、そのタイトルからも分かるように、ジャズのスタンダードナンバーを中心としたアルバムで、しかもスティーヴ・ガッドとアンソニー・ジャクソンという最高のリズム隊が演奏に参加している、聞き応えのある1枚です。
思わず体がリズムを取ってしまうようなご機嫌な曲から、静かなメロディに耳を傾けたくなるようなしっとりとした曲まで多種の曲が詰まっています。
その中でも特に印象に残った曲を何曲か紹介します。
M−1 サンドゥ
いきなりキテます。
トロペイのギターとルー・マリーニのサックスから始まり、ガッドとアンソニーの強烈なグルーヴ。そして空間の隅々まで包んでいるクリス・パルメロのハモンド・オルガン。
最初のテーマの部分だけで圧倒されます。
各ミュージシャンのソロも素晴らしいですが、常に存在感がありつつも隠れるかのようにバッキングを引いているトロペイのギターが渋くてカッコいいです。
M−3 スウィングしなけりゃ意味ないね
誰もが知っている名曲をトロペイとガッドのデュオで歌い上げてます。
ガッド独特のスウィング感もさることながら、たった2人なのに迫力が凄まじいです。2人の間に音楽上の会話があり、勢いがあり、躍動感があります。ドラムで歌う、と言うことはこれを聴くと一発で分かります。このテイクは是非聴いてもらいたいです。
M−7 イフ・ユー・ドント・ノウ・ミー・バイ・ナウ
この曲は、トロペイのギターが聴かせてくれます。最初から最後まで、どの音にも1つ1つ心を込めて弾いているのが分かります。そしてゆったりと歌っているギターに対し、その歌を遅く感じさせないくらいに、ほんの少しだけ前に引っ張るかのようにガッドとアンソニーのリズム隊がいて、そのバランス感が気持ちいいです。
これはそう簡単には出来ないことだと思います。
ここではほんの3曲しか紹介しませんでしたが、他のどの曲も素晴らしいです。
ジョン・トロペイのリーダー作ということになっていますが、このトロペイ自身、全体を通して非常にアンサンブルを大事にしていることが分かります。上手く書き表せないのですが、全体のバランスの中で自分を表現している、というか、アンサンブルを絶対に壊さない歌い方をしている、というか・・・。
自分の世界に固執していない、という感じがします。
他のメンバーの存在感を本当に大事にしている作品です。
僕も最初は、自分が好きなドラマーのスティーヴ・ガッドが参加しているから、という理由でこのCDを購入しましたが、実際に聴き始めると、全体の演奏の気持ちよさにノックアウトされてしまいました。
さらに、このCDではギターとドラムだけの曲や、ギターとベースだけの曲、ギター、ベース、ドラムのトリオやギターだけのソロの曲など様々なバリエーションの曲があり、ミュージシャン同士の呼吸の違いが感じられます。そういった意味でも楽しめる1枚です。皆様に是非、オススメします。
参加メンバー
ジョン・トロペイ(g)
スティーヴ・ガッド(ds)
アンソニー・ジャクソン(b)
ルー・マリーニ(ts)
クリス・パルメロ(org,key)
ニッキ・パロット(ac.b) |
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