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・カリエンテカリエンテー12月号

アフロ・キューバ音楽

4種類のアフロ系宗教と音楽

<ヨルバ>

 キューバ名はルクミー。
 キューバに連れてこられた黒人達は当然白人たちとは別にされ、部族別、出身村別に分けて住まわされた。ひとつにはヨルバ系奴隷の方がバンツー系よりも「質がよい」とされ、高値であったという事情もある。そして、差別から生まれたものではあるが、結果としてキューバ黒人にはアフリカ文化の影響が色濃く残されることになったのである。

 彼ら黒人の部族ごとの居留地に、カビルドという集会所が作られた。カトリックの信徒会という名目の黒人による町内会のようなもので、次第に独自の文化をもつようになった。
 黒人達はカトリック信仰が強要されているのだが、ヨルバ系の人々の間ではアフリカ渡来の神々の信仰がカビルドの中で行われるようになった。

 このヨルバ系の神々はオリシャという名で呼ばれており、それぞれの神々が固有のシンボルになる色などを持っているのだが、勿論それはスペイン人たちによれば邪教。そこで、それらのアフリカの神々はカトリックの聖人たちの名前で呼ばれ、同一視され、性格も変わってくることになる。
 こういった宗教融合から、キューバで最も広く信仰されているサンテリアが生まれたのだった。

 サンテリアの儀式で用いられるのが、バタと呼ばれる楽器。この他にヨルバがキューバに持ち込んだ楽器は他にもある。
 ベンベという丸太をくり抜いて皮を張った太鼓や、ギロ、チェケレなど、現在のアフロキューバン音楽で使われる楽器の大半はヨルバ系と言われている。


<バンツー>

 キューバ名はコンゴ。
 コンゴ、ザイール、アンゴラから連れてこられたバンツー系黒人。彼らはキューバ東部にやってきて、ハイチから逃げてきた同じバンツー系の黒人と混じり合った。そのために彼らのカビルドはカビルド・コンゴまたはカビルド・フランセスと呼ばれるようになった。
 彼らには葬礼のときに、華やかな音楽で死者の魂を見送るという、アフリカ以来の習慣があった。この習慣はサンティアゴ・デ・クーバの中で、フランス風のフリルやリボンのたくさんついた衣装を付けて、アフリカ渡来の太鼓を叩いて練り歩くといった、奇妙な行進となっていった。
 これがトゥンバ・フランセサという、サンティアゴのカーニバルの音楽となる。意味はそのまま「フランスの墓場」。

 ラテン音楽の欠かせないコンガはバンツー系の楽器で、キューバではトゥンバドーラと呼ばれている。このトゥンバドーラの呼び名をつかうのもトゥンバ・フランセサからきているらしい。
 バンツー系の楽器は他に、ユカと呼ばれる太鼓と、マリンブラがある。



<カラバリ>

 キューバ名はアバクア、またはニャニゴ。
 ナイジェリアの東南部にすむイボ族の系統を持つ人々で、ハバナやマタンサスが中心。非常に閉ざされた秘密結社で、女性は儀式に参加することも見ることも出来ない、男性のみのグループだという。細長い三角形の仮面をかぶり、派手なコスチュームを着た人物が儀式で踊る。

 アバクアにおける太鼓はふたつのグループによって構成されており、一方の太鼓は羽などで飾られて叩くことなく置かれている。もう一方のエクエという太鼓は神聖な太鼓とされ、カーテンの向こうで演奏し、人目にふれないようになっている。


<ダホメイ>

 キューバ名はアララー。
 ベニン共和国周辺に住んでいたフォン族の系統。アララーの宗教儀式では、タンボレース・アララーと呼ばれる3個一組の太鼓が用いられ、非常に派手な装飾のものが多い。大きい順にカハ、ムラ、カチンボ。
 演奏は非常にアフリカ的なのに対し、太鼓の装飾や衣装はヨーロッパ的なのが特徴。


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