「ボカ〜ン!」はリズケンがお贈りするエンターテイメント・マガジンです。
リズケン・スタッフや外部ライターの方による傑作をお楽しみください!
・ココ試験に出ますー10月号
先日バンドネオンの小松亮太さんのコンサートで、ピアソラがゲイリー・バートンの為に書いた「ビブラフォニッシモ」という曲を演奏しました。これがまた難しかったんですよ。個人的には気合いばかりが空回りした演奏に満足はしていないのですが、演奏会そのものが非常に素晴らしく、その場にいれたことが幸せでした。とっても良
い経験でした。
鍵盤系も頑張らないといかんです!
さて、先月はテンポ感を身につけるには・・・。といろいろ作戦を考えました。宿題を試してみましたか?やってない人は、いますぐ
先月号
へ戻って試してみて下さい。
で、だいたいのテンポ感覚はつかめたでしょうか。
せめて四分音符=60、100、120、160 あたりは、なんとなくカウントできるようになりたいものです。
さて今回は、
「テンポ感が身に付けばどんなことが出来るのか?」
を考えてみましょう。
◎テンポキープの手掛かりになる
まず、ドラマーの大きな課題のひとつに「テンポキープ」があります。
真っ白な紙に等間隔で点を打っていくとき、なにか「ものさし」のようなものがあると便利ですよね。この「ものさしのようなもの」がテンポ感覚です。ある程度テンポ数字をカウントできるってことは、自分の中に「基準」もしくは「目安」を持ったといえます。
メトロノームのTAP機能で数字を確認するようにビートを出せれば、より一層テンポが安定します。ただ、せっかく正しいテンポを表現できても、それを持続できないと意味が無いので出来るだけ長くキープする訓練も必要ですね。
訓練を積むと、絶対音感を持つ人が微妙なピッチの誤差に不快感を感じるように、相対的に「走った」とか「もたった」という感覚が今までより強く感じられるようになるでしょう。
特にソロの時にテンポキープが曖昧だと曲が大破してしまいますので、自分の中のテンポ感を確実に持っていることが大切です。
◎テンポチェンジに対応できる
メドレーや曲中でテンポの変化する曲での対応がスムーズになります。
四分音符104の4ビートで始まって、120のマーチ、138のラテン、160の16ビート、最後は208の4ビート・・・。なんて曲にも恐れることはありません。
※ちなみに今の文章に使った、104→4ビート(倍テンで204)、120→マーチ、140前後→ラテン(スパニッシュ系やマンボ、チャチャチャなど)という関係は割とそのリズムの定番テンポだったりするので、覚えるきっかけに使うのも良いですね。
◎曲を聴いてテンポを認識できる
曲やカウント聴いてテンポがいくつかわかれば、リハーサル時の細かいテンポの打ち合わせもスムーズだし、何より「今日速かったよね」とか「リハとテンポ違うよね」とか後で言われても「いやテンポ144って事だったから」と、テンポをドラマーのせいにされることもありません。結構いるんですよ、日替わりテンポ感のくせに文句
いう人が・・・。
そういう人には数字が一番効果的です。はい。
◎演奏時間を割り出せる
なんと、究極の裏技として、曲のサイズとテンポが解れば、演奏時間が大体割り出せ
てしまうんです。その方程式は
拍の総数
テンポ数字 で、演奏時間が算出できます。
例えば、4/4拍子で、四分音符=120で、サイズが80小節の曲があったら、「拍の総数」は4/4なので1小節の拍数は4、小節数は80だから、4×80=320になります。で、テンポが120なので、
320
120 =2,6666・・分 小数点以下は秒に直すので0,66×60=39,6
てなわけで、この曲の演奏時間は2分39秒になるわけです。もちろんこの方程式を使えば、演奏時間とテンポからサイズを逆算することも可能です。覚えておくと非常に便利な法則です。
【最も大事なこと】
・・・とまぁ、テンポ感が身に付けば、テンポにまつわるいろいろな部分が見えてくる訳なんですが、使い方を間違うと、かなり非音楽的な演奏になってしまいます。
歌伴や劇伴など伴奏系の時はテンポってかなりシビアだけど、セッションや自分のバンドなんかは、テンポに縛られないで、自分の体の中からでてくるビートを大事にするべきだと思いますね。
だからこそ、普段の練習では、メトロノームをうまく使ってテンポ感覚を養うことが大切なんですな。
ちょっと今回は理屈っぽくなってしまいましたが、皆さんも「テンポ」という形のないモノと上手につき合っていきましょう!
ではまた来月・・・。
萱谷氏の個人ホームページもあります!こちらから!→
http://www.geocities.co.jp/MusicHall-Horn/4327/
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