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・カリエンテカリエンテ 8月号

・ルンバ

 キューバという国は小さな島国であるが、ソンマンボ、チャチャチャなど数々のジャンルを生み出してきた音楽大国である。アフリカとヨーロッパの文化が複雑に絡み合って形成されているが、その中で宗教音楽を除き、もっとも奴隷制の遺産ともいうべき色が濃いのはルンバだろう。

 キューバにはカビルドという黒人の集会所というったおもむきの教会があるのだが、そのカビルドの中で、キリスト教の賛美歌と黒人音楽が融合したのではないかと思われる、カント・デ・クラーベという黒人コーラスが生まれたのだった。
 このカント・デ・クラーベは白人的なメロディを持っているが、クラベスで刻まれるリズムと十数人の黒人コーラスによって歌われる。サンテリアと違って、一見白人色が出ているからこそ、表だった活動が出来たと思われる。ここからルンバが発展していった。

 このルンバはテンポが速い順に、コルンビア、ワワンコ、ヤンブーの3種類があり、すべてダンスが伴う。

 しかし、このルンバの現在の形が出来上がったのはそれほど古いことではなく、ヤンブーで18世紀中期、最も新しいワワンコに至っては、現在のスタイルが確立されたのは1940年以降らしい。
 既に宗教的な香りはすっかり失われており、踊りも歌の内容も生活に密着したもので、今では黒人系の祭には欠かせない。

 ワワンコの踊りは、男女がペアになって恋の駆け引きをテーマにしたものが多い。特徴的なのは、踊り手の技術と想像力によって形は異なるが「注射する」という意味を持つバクナオという踊りである。男性は女性の周りを舞いながら刺激し、女性は挑発しながらも長いスカートを腰に巻き付け迫ってくる男性から身を守る。よいパートナーであればこういった踊りをいつまでも続けることが出来るのだ。

 ヤンブーも男女ペアの踊りだが、老人の踊りとも言われゆっくりなテンポでバクナオは行われない。うわさ話や褒め言葉などを連ね、すり足で動く。祭の始めに歌われることも多い。

 ルンバの中で最もテンポの速いコルンビアは、アフリカの影響が一番強く出ておりアバクアに由来する。男性が単独で踊り、魚を捕ったり、戦ったり、闘牛をしたりというモチーフで、女性に自分の能力を示す。

 こういったルンバの本場は、ハバナとマタンサスで、数本のコンガと、カホンと呼ばれる木箱(高音のものをベラス、低音のものをバカラオ)、カターやクラベスなどで演奏される。


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