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2004/9月号

(テキスト:呉 成徹)

<新企画>

 リズケン講師陣の中では、実は若手の部類に入る呉成徹氏による「それいけ!ドラム談義」です!普段から呉先生の会話センスは、そのオットリとした風貌からは想像もつかないほどに、時として鋭く、聴く者を遙か彼方に誘ってくれます(^^;)。さぁ、アナタも呉先生ワールドに飛び込んでみてください!


某日・・・ある人からの質問

Aさん「ねえねえ〜リズケンのぼかーんを見たけどさ、あのゴンボってどんな楽器なの?」
呉「違うよ、ゴンボじゃないよ、ボンゴだよ。」
Aさん「そうそうそれ、ボンゴ!あの酒が入ってそうな樽のやつでしょ?」
呉「それも違うよ、それはコンガ!」
Aさん「あ〜わかった、ゲームで有るよね。ドンキーコンガ!ってやつね。」
呉「へ?そんなゲームあるんだ。こんどやってみよう。」

というわけで、今回から楽器の説明をすることにしました。
 毎回いろいろな楽器を紹介するので、ゲームばかりしないでこれを読んで勉強しましょう。それではお楽しみに〜。


 今回は、パーカショニストがもっとも使用する頻度のが高いと思われる楽器「コンガ」を紹介します。

 コンガはキューバ生まれの楽器で、手で叩く(ハンドドラム)中ではもっとも有名な楽器で、樽型の形をしたものに、牛の皮を張った片面太鼓です。
 キューバは、征服者のスペイン人と奴隷として連れてこられた西アフリカの人々たちからなる国で、音楽も当然その二つの要素が交じり合ったものとなっています。
 コンガは、奴隷として連れて来られた黒人達がアフリカから持ち込んだ楽器をもとに作られて出来たものです。
 大きさは3種類あり、小さい方から、キント、コンガ、トゥンバドーラと呼ばれていますが、現地キューバでは、小さい方から、キント、トレス・ドス、サリドールと一般的に呼ばれています。



向って左からトゥンバドーラ、キント、コンガ (研究生の渡部聡君)
 コンガの前身である筒状の太鼓は、ンゴマ・ドラムと主に呼ばれ、奴隷のアフリカ人たちが行なう祭典や祝典で使われる宗教用の楽器でした。

 コンガと呼ばれるものが初めて使われたのは、ルンバ(パーティと言う意味も含む)を演奏する時でした。
 コンガが出来るまでのルンバでは主にカホン(木箱)を使用しており、コンガがルンバで使用されるようになったのは、1930年代の事で、まだ生まれてから100年も経っていない新しい楽器です。ルンバでは3人の演奏者がコンガを1台ずつ持ち、異なるリズムを叩きます。

1940年代にキューバのポピュラー音楽であるソンが世界的に大流行になりました。その頃、ミュージシャンのアルセニオ・ロドリゲスがコンガのパートを取り入れ演奏されるようになると、コンガはすぐに流行して国中のアンサンブルで使用されるようになりました。
こうして世界的にコンガが広まると、1947年、アメリカのジャズミュージシャン、ディジーガレスピーがコンガをジャズに取り入れ、そこからアフロ・キューバン・ジャズとして新しい音楽の流れを生む重要な役割を担っていきました。

 1950年代になると、今までびょう留めされたヘッドから、テンション・ボルトを採用したチューニングが簡単に出来るコンガが作られるようになり、現在使われているコンガのシステムになりました。

 1960〜70年代になるとコンガが使用される音楽のジャンルはキューバ音楽だけにとどまらず、他の国における多くのポピュラーミュージックに取り入れられるようになってきます。
 この頃にハードなツアーに耐えられるファイバー製の物も作られるようになりました。こうしてコンガが世界的に有名になり、現在までパーカッショニスト達のメイン楽器として使用されています。

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